エアコンのメンテナンスで特に気になるのが「カビ」の繁殖などによる黒い汚れや臭いですよね。
エアコン掃除を自分でする際に、「エアコン洗浄スプレー」で内部にまできれいにしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
おすすめのエアコン掃除スプレーがたくさん販売されているので気軽にエアコン洗浄をすることができます。
しかし、この「エアコン洗浄スプレー」が逆効果になってしまうことがあることを知っていますか?
ここでは「エアコン洗浄スプレー」について、使用時のリスクや注意点、またエアコン洗浄以外の使い道についてご紹介します。
これからエアコンの掃除を考えている人や、すでにエアコン洗浄スプレーを使っている人はぜひ参考にしてみて下さい。
エアコン洗浄スプレーを使ってはいけないと言われる理由
エアコン洗浄スプレーは、もちろん洗浄を目的としたスプレーですので汚れを落とし、臭いを消してくれる効果はあります。
しかし、使用にはリスクがあることを理解しておかなければいけません。
ここではエアコン洗浄スプレーを使用したときのリスクやデメリットについてご紹介します。
エアコン内にカビが繁殖する可能性がある
使用の際に水分や薬剤がエアコン内部に残ると、カビの栄養源となってしまい逆にカビの繁殖を招いてしまいます。
エアコン洗浄スプレーの成分は「水」、「界面活性剤」、「消臭剤」、「防カビ剤」、「クエン酸」、「重曹」などとなり、これらはカビの栄養源です。
特に防カビ剤は有効期限があり、長期間残っていると逆にカビの発生を引き起こす可能性もあります。
サビができる可能性がある
エアコンの内部には様々な金属部品が使われており、防錆処理が十分でない部品がある可能性があります。
このような金属部品に洗浄スプレーの水分が長期間付着するとサビの原因となりますので注意が必要です。
火災につながる危険性がある
エアコン洗浄スプレーの洗浄液がエアコン内部の電装部分にかかると、機械部分が腐食、ショートして発火する危険性があります。
これはエアコンが通電している状態(コンセントがささっている状態)であれば、使用していなくても発生するのです。
また、洗浄液が内部に残るとホコリや湿気がたまり、トラッキング現象が起きやすい状態になります。
絶縁体表面上で放電や発熱を伴う現象で、火花や発火を引き起こすこと。
NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の調査では2015年から2019年の5年間で誤った内部洗浄方法による火災事故が20件報告されました。
このような事例を受けて注意喚起を行う自治体も増えています。
詰まりや水漏れのリスクがある
エアコン内部に発生する結露などの水は、「ドレンパン」という水の受け皿からホースを通じて本体の外に排出されます。
しかし、エアコン洗浄スプレーの洗浄液が内部に残りホコリが固まって排水経路に詰まってしまう可能性があり、水もれの原因となるでしょう。
また、フィルターに洗浄液が残ると目詰まりし、エアコン性能の低下につながることもあります。
メーカーのエアコン洗浄スプレーに対する見解
ではこのようなエアコン洗浄スプレーのリスクについてエアコンの製造メーカーはどのように考えているのでしょうか。
ここでは、エアコンメーカーのエアコン洗浄スプレーへの対応についてご紹介します。
フィルターのお手入れのみ推奨しているところが多い
大手のエアコンメーカーでは公式の質問箱で「市販の洗浄スプレーの使用は避ける」ようにと案内しているメーカーがほとんどです。
使用については「フィルター部分のみ」としているメーカーもあり、内部についての使用は禁止されています。
日立のホームページの質問コーナーでも「洗浄スプレーは使用しないように」と明確に回答しています。
フィルターについては取り外して水洗いも可能となるため、メーカーは実質「洗浄スプレーは使う必要はない」と言っていると考えてよいでしょう。
故障の際に保証が受けられない可能性がある
エアコンメーカーでは公式にエアコン洗浄スプレーの使用は推奨しておらず、保証規定の中で保証対象外としているところがほとんどです。
ダイキンでは「延長保証サービス規定書」内で「本体貼付ラベルなどの注意書に従った正常な使用状態で故障した場合についてのみ」との記載があり、エアコン洗浄スプレーの使用による故障は対象外としています。
エアコン洗浄スプレーを使う場合の注意点
このようにエアコン洗浄スプレーの使用はエアコンの故障につながることがあり、使用はあまりおすすめできません。
汚れが気になり、どうしても使用したいという人はあくまで自己責任となります。
では使用時に注意するポイントとはどのようなものがあるでしょうか?
ここではエアコン洗浄スプレーを使う際の注意点についてご紹介します。
成分をチェックする
エアコン洗浄スプレーの成分は「水」、「界面活性剤」、「消臭剤」、「防カビ剤」、「クエン酸」、「重曹」となりますが、このような成分がエアコン内部に残るとカビの発生を引き起こします。
また、界面活性剤はウイルスの膜を壊すことができ、無毒化することができますが、大量に摂取すると消化器や呼吸器に刺激を与え、中枢神経に障害を起こす可能性もあります。
原油などが含まれていることもあり、エアコン用に限らず洗浄剤にはいろいろな成分が含まれますので、どのような成分が含まれ、どのような健康被害が起こりえるのかを確認しておくことが大切なのです。
使用量・使用方法を守る
使用効果を高めるために規定の使用量を超えて大量に使用したり、説明書を確認せず、誤った使い方をしていたりする人も多くいます。
エアコン洗浄スプレーの使用量が多いとエアコン内にスプレーの成分が残り、カビの発生やホースの詰まりによる水漏れの原因となる可能性があります。
また、使用可能箇所などを守らないとエアコン本体の故障にもつながりますので、正しい使い方を守るようにしましょう。
すすぎをしっかりする
何度も記述していますが、エアコン洗浄スプレーがエアコン内に残るとカビの発生や繁殖を招いてしまいます。
製品によっては「すすぎ不要」となっているものもありますが、使用後はしっかりすすぎ、乾燥を行いましょう。
エアコン洗浄スプレーの他の使い道
エアコン洗浄スプレーの使用について「買って途中まで使ってしまった」、「使ったが余ってしまった」という人もいるでしょう。
残った分をどうしようか迷っている人にエアコン洗浄スプレーの他の使い道についてもご紹介しておきます。
ただし、正規の使い道ではないのであくまで自己責任での使用をお願いします。
フィルター掃除に使用する
残ったエアコン洗浄スプレーはエアコン フィルター掃除で使用することが可能です。
エアコンメーカーも取り外し掃除のできるフィルター部分での使用は問題ないとしています。
水洗いで落ちきれないホコリや、付着したカビの除去の目的での使用は可能となりますのでフィルター清掃用として用意しても良いでしょう。
また、エアコン以外のフィルターへの使用も可能です。
例えば加湿空気清浄機などはエアコンと同じように湿気が溜まりやすく、カビの発生や水垢などの汚れが付きやすい機器です。
加湿空気清浄機のフィルターもエアコン同様の汚れとなりますのでエアコン用の洗浄スプレーでの洗浄は効果的となっています。
特に「クエン酸」や「重曹」などはカビやホコリの除去効果があり、天然由来の成分なので比較的安全に利用できます。
空気清浄機などには「クエン酸」や「重曹」、「電解アルカリ水」が成分のものがおすすめです。
ただし、「界面活性剤」などの洗浄成分が含まれていると、空気中に拡散され、健康被害を引き起こす可能性もありますので使用の際はしっかりすすいで洗い落とすようにしましょう。
水回りの掃除に使用する
エアコン洗浄スプレーはカビ、ホコリの他に油汚れやヤニ汚れ、焦げ付きなどにも効果があります。
このことから水回りの掃除に使うこともできるでしょう。
調理用具の焦げ付きやコンロの油汚れ、また、お風呂の黒カビなどにも効果的です。
ただし、洗浄成分が強いので健康被害防止のためにもすすぎは必須で、しっかり洗い流しておくことが大切となります。
ヤニの汚れが気になる網戸などにも使うことができますが、素材表面の剥離などが起こる可能性がありますので目立たない部分でテストしてから使いましょう。
エアコン洗浄スプレーの効果
ここまでエアコン洗浄スプレーのリスクやデメリットについてお伝えしてきましたが、中にはエアコン洗浄スプレーを使用したい人もいることと思います。
リスクをしっかり把握した上で適切な使用を守ればデメリットだけではありません。
エアコン洗浄スプレーで得られるメリットをご紹介していきます。
カビの発生を防止する
エアコン洗浄スプレーの成分となる界面活性剤やアルコールにはホコリやカビを除去する効果があります。
また、防カビ剤なども含まれていますので、正しく使用すればカビの発生を防止することができます。
カビや汚れのイヤな臭いを消臭する
エアコン洗浄スプレーには「銀コロイド」、「柿ポリフェノール」などの除菌・消臭効果のある成分が配合されているものもあります。
これらの成分はカビや菌の繁殖を抑えて、イヤな臭いを防ぐことができます。
また、香り付きのスプレーもあり、洗浄後しばらくの間香りを楽しむことができる製品もあるので、匂いにこだわる人にはメリットとなるでしょう。
エアコン内部の除菌
エアコン洗浄スプレーには銀コロイドや柿ポリフェノールの他、「エタノール」や「塩化ベンザルコニウム」などの除菌作用のある成分が含まれている製品があります。
こちらも銀コロイドや柿ポリフェノールと同じく、カビや菌に対して強い殺菌効果があり、エアコン内部に繁殖しやすいカビや菌の除菌に効果的です。
エアコン洗浄はプロによる掃除がおすすめ!
画像引用元/おそうじ本舗公式サイト
エアコン洗浄スプレーの使用は気を付けることも多く、もし不具合が起きたときにはメーカー保証も受けられなくなります。
しかし、エアコンの汚れを放置すると性能劣化やカビの繁殖による健康被害を起こしてしまう可能性もあるでしょう。
もし、エアコンの掃除に自信がないようならプロに依頼するのがおすすめです。
ここではエアコン洗浄をプロに依頼するメリットについてご紹介します。
専門知識のある技術スタッフが対応
エアコンはメーカーによって構造も大きく異なります。
様々なタイプのエアコンから自分の使用している機種を探し、正しい洗浄を行うことは非常に困難でしょう。
エアコン掃除のプロなら機種ごとに最適な洗浄方法を知っているので、その機種に合わせた洗浄が可能です。
また、自分でエアコン洗浄を行うと非常に時間もかかります。
専門知識のあるプロなら1台あたり1時間程度で細部までしっかり洗浄することができますので、作業の時短にもつながります。
見えない奥の汚れまで徹底的に洗浄
エアコン洗浄スプレーを安全に使用できるのはフィルターまでとなっています。
しかし、エアコンの本当の汚れはその奥にあるのです。
エアコンの汚れをしっかり洗浄したい場合は分解洗浄が必要となります。
おそうじのプロである「おそうじ本舗」では、おすすめのエアコンクリーニング業者の中でも唯一完全分解洗浄が可能です。
専門知識を持ったプロがエアコンを分解することで個人では届かない汚れまで洗浄してくれます。
ぜひ一度、チェックしてみてくださいね
エアコン洗浄スプレーのメリット・デメリットを知っておこう
エアコン洗浄スプレーのメリットは
- 洗浄成分の界面活性剤やアルコール、クエン酸、重曹などがエアコンに溜まりやすいカビやホコリを除去してくれる。
- 製品によっては銀コロイドや柿ポリフェノール、エタノールや塩化ベンザルコニウムといった除菌・消臭成分が配合され、エアコンのイヤな臭いを除去してくれる。
となっています。
しかし、デメリットとして
- エアコン内部に洗浄スプレーの成分が残ると、逆にカビの繁殖を招き金属部品の腐食にもつながる。
- エアコン洗浄スプレーの洗浄液がエアコン内部の電装部分にかかると、ショートして発火する危険性があり、最悪な場合トラッキング現象により火災が発生する。
といった危険もありますので使用には十分な注意が必要となります。
エアコン洗浄スプレーの使用に不安がある場合は無理をせず、エアコン洗浄のプロに依頼しましょう。
カビはエアコンの性能低下の他、嫌な臭いの原因となったり人体に悪影響を及ぼしたりしますので十分気を付けましょう。