造成工事とは?費用・期間や工事の種類、注意すべきトラブルなどを解説
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家が建つ土地の形状はさまざまで、傾斜になっていたり元々が山や畑だったりとそれぞれ違いますよね。
住宅のみならず、私たちが安心して建物を利用できるのは「造成工事」が行なわれているからです。
今回は家を建てる際に重要となる造成工事について徹底解説していきます。
費用や工事期間はもちろんのこと、工事の種類から気を付けたいポイントを詳しくご紹介。
これから家を建てたいと考えている人は要チェックです。
目次
造成工事とは
造成工事とは、家づくりの基盤となる土地を安全性に配慮して整備する工事のことをいいます。
土地はただ単に平らであれば良いというわけではなく、地震などの災害が発生した時でも建物の崩壊による被害を回避できるような安全性が必要です。
土地の形を宅地に適した状態に整えたり、元々弱い地盤を強化したりすることは家づくりをするうえでとても大事な工程。
このような工程をおこなうために必要となるのが造成工事なのです。
造成工事は個人で進めることはできず、工務店やハウスメーカーへ相談して進めていきます。
土地に手を加える大きな工事なので、「都市計画法」や「宅地造成等規制法」といった造成に関わる法律に則る必要があり、工事は行政からの許可を得てから行なうのが一般的です。
私たちが安心して家で暮らせるのは、家づくりの根本である造成工事が成されているおかげだと言っても過言ではありません。
造成工事の種類
一言で造成といっても、工事の内容は以下のようにいくつか種類があります。
- 地ならし、整地
- 草木の伐採
- 切土、盛土
- 地質変更
土地の状態に合わせて実施する工事は異なります。
工程が少ないシンプルな工事となることもあれば、数ヶ月の期間を要する大規模な工事となることもあるのです。
それぞれの工事内容について詳しくみていきましょう。
地ならし・整地
地ならしや整地は、建物を解体後のがれきやガラス片、石や木くずなどをきれいに取り除き、土地を踏み固めて平らにする造成方法です。
この工程は、いくつか種類がある造成工事の中では基礎的な工事で、仕上げに行なわれることもあります。
依頼する業者によって取り除く不要物の種類や、どこまできれいに整えてくれるのかが異なるので、細かく確認をしておくと安心です。
草木の伐採
土地に樹木や草が生えている場合は伐採をします。
地ならしや整地でも一見きれいになったように感じますが、地面の中に残った根から再び草木は育ってしまうのです。
特に雑草を完全に取り除くためには根の除去をしっかりと行い、再び生えてこないように防草シートを敷く必要があります。
そのため、どこまでどのように作業をするのか、草木の伐採は丁寧に行なってもらうよう業者と話し合いをしましょう。
切土・盛土
道路よりも高い土地を低くなるように地面を削る工事を「切土」、低い位置にある土地に土砂で高さを出す工事を「盛土」といいます。
家を平らな土地に建設するために重要な工事で、地盤強化の目的や丘陵地などで特に活躍する造成方法です。
切土と盛土は必ずしも行わなければならない工事ではなく、その土地の状態を考慮した後に必要かどうかを判断します。
ただ、既に固まっている地盤を削り取る切土に比べ、新しく地上げをする盛土は土が固く締まるまでに時間がかかるため崩れやすいです。
そのため、盛土をする際は崩れ防止のために周囲に壁を作って補強する擁壁工事を一緒に行ないます。
地質変更
メンテナンスがきちんと行なわれていない土地は、時間経過と共に内部の地層や岩石部分の地質が劣化してしまいます。
そこで必要となるのが弱った地盤を安定させる地質変更です。
一般的な工事内容は、土地の表層部分にセメント系の固化材を混ぜ合わせて土の強度を上げ、地盤の安定性を高めます。
そうすることで軟弱な地盤だった土地の強度が上がり、建物の沈下や傾きといった事故を防ぐことが可能です。
特定区域での宅地造成には許可が必要
造成工事はどこでも自由に行なえるわけではなく、自然災害の危険性が高いエリアでは自治体の許可が必要です。
自然災害の多い日本では、過去に受けた被害を背景に、私たちの命や家屋などの財産を守るために造成工事に必要な規制を法律で設けました。
その法律が「宅地造成等規制法」です。
この法律では、土砂災害やがけ崩れが懸念される特定区域内での造成工事は、各自治体への許可が必要であると定められています。
そして、この特定区域は“宅地造成工事規制区域”と“造成宅地防災区域”の2種類に分けられています。
宅地造成工事規制区域
「宅地造成工事規制区域」とは、地盤や土地の状態を自治体が調査し、土砂やがけ崩れなどの災害が起こりやすいと指定された区域のことをいいます。
この区域内での造成工事は、作業に伴って災害を招く恐れがあるため、市長や都道府県知事などの許可を得なければ工事を開始できません。
以下は許可が必要となる造成工事の内容です。
- 切土で2m以上の高さ、または角度が30度を超える傾斜の崖が生ずる
- 盛土で1m以上の高さ、または角度が30度を超える傾斜の崖が生ずる
- 切土と盛土の両方を行なう際に、
2m以上の高さ、または角度が30度を超える傾斜の崖が生ずる - 500㎡を超える全ての造成工事
これらの造成工事は、完了した後に安全性を確認する検査を行ない、もしも不十分だと判断された場合はやり直しを要求されます。
また、宅地造成工事規制区域に建つ既存の建物を所有した際でも、定期的に土地の点検を実施し、問題があれば工事での改善を求められることも。
土地や物件を購入する際は、この区域内に入っているかどうかを確認しておくと良いです。
造成宅地防災区域
もう一方の規制区域である「造成宅地防災区域」は、前述でご紹介した宅地造成工事規制区域には該当しないものの、規制が必要な区域のことです。
例えば、山を開拓したような高台の住宅地では、広範囲に盛土をして宅地を安定させています。
しかしこうした住宅地は、地震等で万が一地滑りが発生すると、住宅地の全体が大きな被害を受けてしまいます。
このような事態を防ぐために造成宅地防災区域を指定し、造成工事の規制を設けているのです。
造成宅地防災区域の指定条件は以下の通りです。
- 盛土を行なう面積が3000㎡以上で、盛土内部に地下水が侵入している
- 盛土を行なう前の斜面角度が20度以上あり、盛土の高さが5m以上である
- 盛土や切土に伴って設置した擁壁の沈下があったり、
部分的にがけ崩れが発生したりしている
造成宅地防災区域の土地所有者になると、必要に応じて擁壁の設置等を要求されることがあります。
ただ、その場合の負担額は国から補助されるケースもありますが、基本的に土地所有者の負担となるので注意してください。
後々のトラブルを防ぐためにも、事前に造成宅地防災区域内かどうかをしっかりと確認しましょう。
特定区域はどこで確認できる?
特定区域かどうかを調べる方法は3つあります。
- 都道府県または市区町村のホームページ
- 都道府県または市区町村へ直接問い合わせる
- 不動産会社に確認してもらう
ホームページでの検索が最も手っ取り早い確認方法です。
土地や住宅の購入を考えている市区町村のホームページで検索してみましょう。
メールや電話で直接問い合わせる場合は、より詳しく教えてくれるかもしれません。
また、不動産会社は特定区域に指定されている土地や住宅の購入者へ、その旨を説明する必要があります。
そのため、不動産会社へ相談する際に、指定した地域の特定区域について尋ねれば確認してくれるでしょう。
造成工事にかかる費用
造成工事の一般的な内容ごとの大体の相場がこちらです。
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工事内容 | 工事概要 | 費用 |
---|---|---|
地ならし・整地 | 土地を平らに踏み固める | 600円~700円/㎡ |
草木の伐採 | 樹木や雑草を取り除く | 1,000円/㎡ |
土止・擁壁 | 土地が崩れないように壁で囲って補強する | 52,300円~72,900円/㎡ |
盛土 | 土地に土砂を盛り高さをだす | 6,600円~7,500円/㎥ |
地質変更 | 軟弱な地盤を強くする | 1,800円~2,400円/㎡ |
盛土のみ1立方メートルあたりの価格表記としていますが、土地の傾斜によって平方メートルで計算する場合もあります。
造成工事は都道府県や工事の規模によって価格に大きく幅があり、数10万円で済むこともあれば、100万円以上かかることも。
また、土地の傾斜によって費用の計算方法が異なりますし、高低差や傾斜が大きいほど1㎡あたりの費用が上がります。
さらに、造成工事後に発生した残土や伐採した草木の処理費用が追加で必要になる場合もあるので注意してください。
造成費用の坪単価の目安はいくらか
前述でご紹介した造成工事の費用を坪単価に換算するとそれぞれこのようになります。
工事内容 | 費用(坪単価) |
---|---|
地ならし・整地 | 約2,000円~ |
草木の伐採 | 約3,300円~ |
土止・擁壁 | 約173,000円~ |
盛土 | 約22,000円~ |
地質変更 | 約6,000円~ |
上記の金額はあくまでも目安で、造成工事は土地の状態によって内容は異なります。
傾斜のあるような土地では、斜面の崩壊等のリスクを懸念して工事の工程が多くなりがちです。
土地によっては、1坪あたりの工事費用が何十万円となる場合も充分にあり得ます。
40坪の造成費用
40坪の宅地の造成工事で、整地と草木の伐採を行なうと仮定します。
最低金額で整地に約80,000円、草木の伐採に約132,000円かかるとして合計が212,000円です。
特定区域や傾斜地でない場合は、工事の内容もシンプルになるので、このくらいの金額を目安に考えて良いかと思います。
傾斜地にある100坪の造成費用
傾斜地の場合は重機やより高度な技術が必要になることから、造成工事の費用が上がります。
工事の内容は、建物が傾かないように盛土や切土を行なって土地を整えることが多いです。
仮に100坪全てに盛土をした場合、かかる費用は最低でも約2,200,000円。
そこに整地や草木の伐採が加わると、合計で2,500,000円ほどの工事費用が想定されます。
土地や業者によってはこの金額以上の工事内容になることも考えられるでしょう。
傾斜地は工事の規模が大きくなりますので、事前に工事内容について業者としっかり話し合うようにしてください。
造成工事にかかる期間
造成工事は内容や規模によって期間が変わってきます。
元が宅地で整地だけで済むような場合は、1週間ほどで工事が完了することが多いです。
反対に土地の面積が100坪を超えていたり、宅地造成工事規制区域であったりすると、造成箇所が多い複雑な工事になります。
造成箇所が多く複雑な工事だと、工事期間は1~2ヶ月ほどかかるかと思います。
梅雨の時期や積雪のある地域は天候に左右されて作業が滞ることもあるでしょう。
工事期間が費用に影響する場合もあるので、できる限り作業がスムーズに進むように業者によく相談して決めると良いです。
造成工事に関するよくある質問
造成工事の内容以外にも、気になることはたくさんありますよね。
そこで、造成工事についてよくある質問を集めてみました。
- 開発や土木工事と違う点
- 造成工事の流れ
- 気を付けたいトラブル
- 造成工事をしてくれる業者の探し方
これらの内容について詳しく回答していきますので参考にしてください。
開発や土木工事とのちがいは?
土地開発とは、山を切り開いて活用できるように新たに土地を拡げることです。
そして土木工事は建物を造る工事のことをいい、道路やダムなど建物以外の建設物の工事全般が含まれます。
一方造成は土地を活用したい用途に合わせて形状を整えることをいいますので、これら3つの意味は混同しがちですが別物なのです。
造成工事の流れは?
基本的な造成工事の大まかな流れは以下の通りです。
- 都道府県や市区町村から造成工事をする許可を得る
- 地鎮祭をする
- 地盤調査や土地の測量をして必要な造成を計画する
- 造成工事を始める
まずは造成工事をすることを申請して都道府県や市区町村からの許可を得ます。
許可がおりたら工事を始められますが、その前に安全に工事を進められるよう祈願をする地鎮祭を行なうのが一般的です。
そして土地の状態や地盤を調査して、必要な造成を計画していきます。
その後、使用する道具や重機を搬入して造成工事の開始です。
きちんとした業者であれば、事前にスケジュールを提示してくれますので、工事の流れについて確認してみましょう。
造成工事で注意すべきトラブルは?
造成工事をするうえで気を付けたいトラブルはいくつかありますが、その中でも特に注意したいのがこちらの2点です。
- 造成工事に伴う騒音や振動に対する近隣住民への説明不足
- 擁壁を設置する際の隣接住宅との境界問題
最も懸念されるトラブルが近隣住民への配慮です。
事前に挨拶に伺って、工事が始まる旨をきちんと説明しておきましょう。
工事の内容が途中で変わった場合でも同じです。
造成工事は重機による騒音や振動がどうしても伴いますので、事前にしっかりと工事内容を伝えて了承を得ると良いです。
家が建ってからも気持ちの良い関係でいられるように誠意を持って対応するようにしましょう。
そして、擁壁を設置する必要がある場合も注意が必要です。
隣接住宅との境界が曖昧だと、建て替えの時や万が一事故が発生した際に、所有や責任を巡ってトラブルになることが予想されます。
このトラブルを回避するには、擁壁設置前に隣接住民としっかり境界線を確認しておくことが一番です。
境界杭を参考にして、最終的な擁壁の位置を双方が納得できるように決めましょう。
造成工事の業者はどうやって探したらいい?
造成工事の業者の探し方は2パターンあります。
1つは、ハウスメーカーや建築会社が業者の紹介や工事の依頼をしてくれるパターンです。
探す手間が省けるので楽ではありますが、仲介手数料が含まれるので工事料金が相場より高くなってしまいます。
2つ目は、自分で探して直接依頼をする方法です。
ネットなどを用いて造成工事をしてくれる業者を探し出し直接やり取りをします。
やり取りを通して信頼できる業者かどうかを見極めることができますし、複数社と比較しながら選ぶことができるでしょう。
妥当な費用ときちんとした実績がある業者を選ぶことがトラブルなく工事をしてもらうための大きなポイントです。
できれば複数社に相談して、対応を自分の目で見た上で丁寧に選ぶのが一番と言えます。
ただ、忙しくて余裕がとれない場合は、大手ハウスメーカーも安心して任せているような”優良会社”に頼むと失敗が少ないでしょう。
仲介手数料の分少し高くついてしまいますが、実績を積み重ねた会社ならば今後の活動もありますから、
しっかりと近隣住民にも配慮して造成工事を行ってくれる可能性が高いです。
少なくとも業者の対応が原因でトラブルに発展することは避けられるはずです。
ですから、注文住宅を考えている人や、業者選びに自信がない方は、
おすすめの大手ハウスメーカーランキングから自分に合った会社を探し、何かと安心な大手への依頼も検討してみてくださいね。
まとめ
今回のポイント
・造成工事は私たちが安全に建物で暮らすための基盤となる工事
・災害の危険性がある特定区域に指定されているエリアの工事には自治体の許可が必要
・傾斜や高台の土地など、工事が複雑になるほど費用が高くなる
・造成工事の期間は小規模なもので1週間ほど、大規模になると最大で2ヶ月近くかかることもある
・トラブルなく進めるためにも、事前の近隣住民への説明や工事業者との話し合いが大切
家を建てる際に必要となる造成工事についてご紹介してきました。
私たちの命と財産を守るための重要な工事であることが分かりましたね。
工事の種類はいくつかありますが、まずは購入する土地の状態をプロに確認してもらい、必要となる造成を教えてもらいましょう。
それによって費用と期間がはっきりとしてくるはずです。
造成工事は法律での規制も絡むので、丁寧な対応をしてくれる業者を選ぶことが大切になります。
あなたが長く安心して暮らしていくために、土地に適した造成工事を施してもらいましょう。