任意売却とは?デメリットや売却までの流れを徹底解説!
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住宅ローンの返済が困難になった場合、「任意売却」という選択肢があります。
リーマンショックやコロナで収入が減った際には多くの住宅ローン債務者が任意売却を選択しました。
そのため、これから住宅ローンの申し込みをする人や現在住宅ローンを返済中の人にとっては、任意売却の詳細を把握しておくことは重要です。
そこで、この記事では任売売却の特徴や流れ、デメリットについて解説します。
目次
任意売却とは?
任意売却とは住宅ローンの支払いが困難になった場合の解決策となり、「競売」や「一般の売却」とは違います。
また、任意売却を受けるためにはいくつか条件があるため、この章で詳しく解説します。
任意売却と競売・一般の売却との違い
任意売却と競売、一般の売却は全て不動産を売却するという点においては同じですが、多くの点で違いがあります。
そのため、まずはそれぞれの違いを次の表で確認しましょう。
一般の売却 | 任意売却 | 競売 | |
---|---|---|---|
売却開始の タイミング |
売主の自由 | 銀行の許可次第 | 任売売却終了日の翌日 |
売却停止の可否 | 売主の自由 | 原則不可能 | 不可能 |
売却期間 | 3ヶ月~半年 | 約1年半 | ー |
売却金額の設定 | 売主の自由 | サービサーが決定 | 競売にて決定 |
残置物の管理 | 売主の自由 | 原則オーナーの自由 | 原則売主は管理不可 |
個人情報の取扱 | 非公開 | 非公開 | 公開 |
3つの売却方法は「売主の自由度」が大きく変わります。
たとえば一般の売却であれば売却スタートも停止も売主の自由ですが、任意売却の場合は銀行の許可が必要となり、競売の場合は任意売却終了後の翌日に執行となります。
また、売却価格についても一般の売却であれば自由に設定可能ですが、任意売却はサービサーが決定し競売は競売参加による落札で決まります。
サービサーとは?
債権回収会社の総称のこと。
銀行から抵当権を買取りし、代わりに住宅ローン残債の改修を実施します。
このように、任意売却は売主の意向が反映されない不動産売却になってしまうため注意が必要です。
任意売却ができる条件
任意売却は原則、住宅ローンを組んでいなければ利用することができません。
任意売却は銀行が保有している抵当権をサービサーと呼ばれる債権回収会社に売却し、サービサーが売却価格を決定するという流れです。
そのため、まず銀行と住宅ローン契約を組んでいることが前提条件となります。
また、一般的には住宅ローンを3ヶ月連続で滞納すると銀行との相談後に任意売却となり、その後競売という流れになりますが、住宅ローンを滞納中に銀行からの催促状を無視し続けると競売となる実例もあります。
そして、競売は任意売却でも売却できなかった場合の最終フェーズとなるため、競売決定後に任意売却の利用はできません。
このように、任意売却は誰でも利用できるわけではないことを知っておきましょう。
任意売却を行う流れ
この章では任意売却を利用する際の流れについて解説します。
任意売却の流れ | 期間 |
---|---|
1.債権者である銀行から督促を受ける | 1~3ヶ月間 |
2.残債と不動産の査定 | 約1週間 |
3.銀行の融資担当と相談・交渉 | 約1ヵ月 |
4.不動産の販売・契約 | 約3ヶ月~半年 |
5.引越しをする | 契約から約2週間 |
6.決済・引き渡し | 契約から約1ヵ月 |
債権者である銀行から督促を受ける
住宅ローンを滞納すると、電話や書面で銀行から催促を受けることになります。
本来であればこの時点で返済が困難である旨を相談するのがベストですが、支払いを継続できるケースもあるため、銀行も催促に留めることが多いです。
残債と不動産の査定
住宅ローンを1度でも滞納しさらにその理由が収入減だった場合は、住宅ローンの返済継続が難しいといえます。
そのため、早い段階で住宅ローン残債の確認と不動産査定を依頼しましょう。
この時点では一般売却と任意売却のどちらであっても選択は可能ですが、一般売却の方が高く売ることができます。
選択の余地があるのであれば、一般売却の選択がおすすめですね。
そして、一般売却ではなるべく高い金額で売却するために相場を知ることが重要です。
複数の不動産会社に対して同時に査定依頼を出せる不動産一括査定がおすすめです。
不動産一括査定では根拠に基づいた査定額を一気に確認することができ、査定にかかる費用はなんと無料です。
このことからも、効率良く査定額を確認できる一括査定は不動産査定において有効な手法なので是非利用してみてくださいね。
銀行の融資担当と相談・交渉
滞納が続いてしまった場合、銀行から状況確認の面談を要請されます。
この時点では任意売却の利用を検討する前に、現時点で返済する方法がないか模索することになるでしょう。
なぜなら、銀行としても抵当権の売却は赤字となり、このまま返済継続してくれる方が利益になるからです。
そのため、利息の支払い猶予など様々なアドバイスを受けることができます。
しかし、返済の目途が将来にわたってつかない場合、不動産の査定をベースに任意売却を協議することになります。
そして約1ヵ月間の協議をもって、任意売却開始となります。
不動産の販売・契約
任意売却の不動産販売は表面上、一般の売却と大きな違いはありません。
売却方法は紙媒体や不動産ポータルサイトを通じて買主を捜索し、契約を締結します。
ただし、「価格の設定」と「不動産会社との契約形態」については一般の売却と異なり、物件はサービサーが決めた売却価格で決められた不動産会社を通じて売却することになります。
そのため、一般の売却であれば売主の判断でまとまるレベルの価格交渉であっても、サービサーが認めず交渉決裂となるケースも多いです。
このように、売主の所有物であっても多くの制限の中で販売されることになります。
引越しをする
買主が見つかり無事に不動産売買契約が締結されると、売主はすぐに引っ越し業者を選定し引っ越しする必要があります。
また、その際には残置物の選定においてもサービサーの指示に従う必要があり、契約時に売主から渡される手付金は不動産会社が預かる形式になるでしょう。
これは不動産の価値に残置物を含むためであり、持ちだした後に売主が換金しないようにするためです。
手付金の不動産会社預かりにおいても同様で、確実に売却代金を残債に充足するための措置となります。
引っ越しは契約から約2週間で完了しなければならないため、ある程度荷物を整理しておくことをおすすめします。
決済・引き渡し
不動産売買契約締結から約1ヵ月後、不動産の残代金決済を行い所有権移転し、カギを買主に渡すことで引渡し完了となります。
振込される残代金は売主の手元には残らず、原則全て住宅ローン残債に充当するためサービサーに振込されます。
しかし、それでも残債が残る場合には支払い義務は完済するまで継続されます。
つまり、任意売却によってどのくらい高く売れるのかが売却後の生活に大きく影響することになるでしょう。
任意売却を行うデメリット
任意売却は住宅ローン残債を大きく減らすことができる有効な解決策ですが以下のようなデメリットもあります。
- 売却後も返済は続く
- 信用情報に傷がつく
- 主導権はあくまでも債権者である銀行になる
- 猶予が短いことに注意
そのため、任意売却を利用する前にはこの章で解説するデメリットを必ず確認しましょう。
売却後も返済は続く
前述したように、売却益を住宅ローン残債に充当しても返済しきれなかった場合、返済は継続します。
その場合は仮住まいの家賃を支払いながらの返済となるため、生活が困窮する可能性があります。
このことからも任意売却スタート時点でどのくらいの残債が残るのかを把握し、売却後の資金集めをなるべく早い段階でスタートすることが重要だといえます。
信用情報に傷がつく
任意売却の利用は住宅ローンを滞納したことを示しており、その情報は個人信用情報機関に残ってしまいます。
いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態になりますが、この傷ついた信用情報は7~10年間消えることがないと言われており、その間クレジットカードや他のキャッシングを受けることができなくなるでしょう。
主導権はあくまでも債権者である銀行になる
不動産の所有権は売主にあるものの、任意売却は売却価格の決定から残置物、残代金の取扱いまで売主が決定できるステップはありません。
つまり、任意売却を利用すると不動産会社とサービサーによって不動産の売却を進められ、最終的に残債だけが残ることになります。
そのため、一般的な売却のように不動産を売って借金を返済し、新しい生活をスタートできるわけではないことを知っておきましょう。
猶予が短いことに注意
任意売却の最大期間は一般的に1年半で、その後競売に移行します。売却自体は競売の前日まで有効ですが、滞納した月から数えると2年以内に家を退去する準備をしなければなりません。
不動産売却サイトのすまいステップによると、一般的な不動産売却は3ヶ月〜半年で売却完了となります。
しかし、任意売却の場合は住宅ローン残債が相場よりも高くなるオーバーローン状態であることが多く、販売が長期化することが多いです。
そのため、1年半という販売期間は任意売却をする上では長いといえないため、注意が必要です。
任意売却を行うメリット
任意売却にはデメリットだけでなく、下記のようなメリットもあります。
- 返済が楽になる
- 競売よりも高く売却できる可能性が高い
- 売却資金を相談して利用できる
- 契約や引き渡しの条件を相談できる
- 周囲にバレずに売却できる
それぞれ解説していきます。
返済が楽になる
売却完了後も返済が継続するとはいえ、大きく残債を減らすことができ返済計画が楽になります。
また、任意売却中の返済についても無理のない返済計画に修正してくれることもあるため、
返済で苦しいと感じている売主は任意売却がおすすめです。
競売よりも高く売却できる可能性が高い
競売は一般的な売却価格の6割前後で落札されることが多いですが、任意売却は相場に近い価格での売却となります。
なぜなら、競売は「返済不能となった抵当権の処理」という目的があり、任意売却は「残債額の圧縮」が目的だからです。
このように競売と任意売却では利用する目的が変わるため、任意売却によって競売よりも高く売却できる可能性は高くなるでしょう。
売却資金を相談して利用できる
売却資金は通常残代金に充当しますが、引っ越し費用などが支払えない場合は不動産の引渡しができなくなってしまいます。
そのため、任意売却であれば必要最低限の費用は使用することができます。
一方、競売は使用できる費用がほとんどなく、強制退去となるため注意が必要です。
契約や引き渡しの条件を相談できる
あくまで競売に比べてですが、任意売却は不動産契約や引渡し条件を相談することが可能です。
たとえば「残置物の未撤去」や「引き渡し後数日間の滞在許可」などは任意売却でなければ合意できない条件といえるでしょう。
周囲にバレずに売却できる
競売を受けたという情報はネットや新聞に公開されてしまうため、近隣住民や職場に知れ渡るリスクがあります。
その点、任意売却は一般的な売却と同じように周囲にバレずに売却できるというメリットがあり、プライバシーを保護することができます。
そのため、誰にもバレることなく不動産を売却したい場合には、任意売却がおすすめです。
ただし、前述したように個人信用情報機関には「滞納」と「任意売却利用」という情報が記載されてしまうため、金融機関にはバレてしまいます。
その結果、クレジットカードや他の借入ができず任意売却したことがバレてしまうケースもあるため、注意しましょう。
任意売却の相談先と内容
任意売却の検討はデリケートな内容であるため、誰にでも相談するわけにはいきません。
そこで、この章では守秘義務がしっかりしており、なおかつ任意売却に詳しい相談先について解説します。
不動産会社
不動産会社は任意売却の旗振りをする役割を担うため、任意売却に必要なノウハウを持っています。
このことからも、不動産査定をするタイミングで任意売却の利用を伝えることでスムーズに売却を進めることができるといえるでしょう。
また、不動産会社は、できれば任意売却の実績が多い会社を選ぶのがおすすめです。
なぜなら任意売却物件を探している顧客を多くストックしている会社であれば早期売却できる可能性が高くなるからです。
そのため、任意売却に強い不動産会社をHPで確認し、その上で一括査定サイトを利用し不動産会社を選択しましょう。
債権者である銀行
住宅ローン債権者である銀行にはどのみち相談する必要があるため、なるべく早い段階がおすすめです。
また、銀行は任意売却だけでなく、現在の返済計画についてもアドバイスや提案をしてくれます。
銀行としても任意売却や競売によって抵当権を手放すのではなく、生活を立て直して返済を継続して欲しいという意向があります。
そのため、借入している銀行担当者に連絡し、現在選ぶことができる選択肢について提案を受けましょう。
弁護士や司法書士
弁護士や司法書士は法律の専門家であるため、債務整理の方法など不動産会社や銀行よりもより専門的なアドバイスを受けることができます。
通常であれば相談料が必要となりますが、30分間無料というサービスを展開している法律事務所も多いです。
ただし、具体的なアドバイスを受けるためには着手金が必要となるため、不動産会社や銀行に相談しても有効な手立てがなかった場合に相談しましょう。
任意売却に関するよくある質問
この章では任意売却に関するよくある質問について、解説します。
任意売却の経験者が再度任意売却を利用することは珍しく、ほとんどの売主が初めてです。
そのため、この章で解説する質問をあらかじめ確認し、少しでも疑問点を減らすことが重要です。
任意売却はどんな時に利用する?
任意売却は住宅ローンの返済が継続困難になったタイミングで利用することになります。
ただし、任意売却による不動産売却は売主の制限が大きく、可能であれば自ら売却する一般売却を選ぶ方が望ましいです。
そのためにも、住宅ローンが苦しくなった段階で不動産会社や銀行に相談しましょう。
任意売却の売却相場はいくら?
任意売却は一般的な相場と同額で売却することが可能ですが、住宅ローン残債が多すぎると少しでも残債を減らすために相場よりも高い売却価格で売却せざるを得なくなります。
そのため販売は長期化する可能性が高くなることを知っておきましょう。
離婚の財産分与で任意売却できる?
結論からいうと離婚の財産分与では任意売却はできません。
その場合は一般売却によって売却益から住宅ローン残債と諸費用、税金を差し引いた額を財産分与することになります。
ごく稀に元夫が住宅ローンを支払っている家に元妻が住み続けることで財産分与と見なすケースもありますが、そもそも銀行の契約違反にあたるためおすすめできません。
この場合は銀行から住宅ローン残債額の一括返済を請求されるため、必ず財産分与は不動産売却による換価分割を選択しましょう。
任意売却できないケースとは?
任意売却は住宅ローンを組んでいなければ利用できないことを解説しましたが、それ以外にも利用できないケースはあります。
たとえば催促状を無視して競売になった場合は競売落札によって買主が決まるため、任意売却を利用していたとしても停止となります。
また、売主がうつ病や認知症など正常な判断ができない場合においても同様です。
この場合は家庭裁判所が命じた司法書士や家族が成年後見人となり、被後見人の財産を管理することになります。
そのため任意売却ではなく一般売却となるケースが多いですが、住宅ローン残債の状況によっては競売になる可能性もあります。
任意売却で買い手がつかない場合は?
任意売却がスタートし1年半経過しても買主が決まらない場合、競売の手続きに移行します。
その場合、売主は競売落札日までに家を明け渡すことになります。
万が一明け渡さなければ破産管財人と弁護士、管理会社立ち会いのもと強制退去となり、家屋内の財産も差し押さえられることになるでしょう。
そのため、任意売却は自分の意志で不動産を売却するラストチャンスだといえます。
任意売却の購入の注意点はある?
任意売却物件を購入する際には、「家屋内の状況」と「契約不適合責任」について注意する必要があります。
任意売却物件の注意点1:家屋内の状況
任意売却を利用している売主は生活が困窮していることが多く、家屋内もキレイに整頓されていないケースがほとんどです。
任意売却物件は設備の劣化が激しく、中には給湯器が壊れたまま真冬でも生活している売主もいます。
そのため、任意売却物件を購入した後の修繕費が高くなる可能性があります。
任意売却物件の注意点2:契約不適合責任
先述のとおり、任意売却を利用している売主は生活資金に余裕がありません。
「契約不適合責任」に関連するトラブルが発生しても費用負担できないことが多いです。
契約不適合とは「買主が目的を達成できない事柄」のことで、雨漏りや白蟻、重要な木部の腐食などが該当します。
物件購入後にこれらのトラブルが発生した場合、通常は売主に修繕もしくは代金減額請求、契約解除の申し立てをすることができます。
しかし、売主に費用負担をする能力がそもそもない場合、泣き寝入りとなってしまいます。
このようなトラブルに巻き込まれないためにも、内見時や契約前の段階でしっかり不動産会社に物件の状況確認を実施しましょう。
任意売却のまとめ
任意売却は住宅ローンの返済困難というストレスを減らし、生活を安定させるための有効な解決策です。
また、任意売却を利用せずとも住宅ローンの返済が難しいと感じた段階で各方面に相談することで、現状を改善できる方法が見つかることもあります。
そのためにも、まずはこの記事で解説した任意売却の流れを把握し、仮に任意売却を利用することになった場合にはスムーズに進められるよう準備をしましょう。