仲介手数料の交渉の仕方!断られた理由や適切なタイミングを解説!
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不動産を借りる場合や買う場合には不動産会社へ仲介手数料を支払う必要がありますが、手数料の価格交渉をすることは可能でしょうか。
仲介手数料を抑えることで初期コストを安くすることができますが、不動産のプロ相手に価格交渉をするのは簡単ではありません。
そこで、この記事では仲介手数料の交渉をする上での心構えやコツについて解説します。
目次
賃貸・売買の仲介手数料の仕組み
仲介手数料は「仲介」をすることに対する成功報酬となります。
そのため、まずは仲介と仲介手数料が支払われる仕組みについて理解しましょう。
賃貸の仲介手数料の仕組み
賃貸は物件を借りて欲しい「大家」と借りたい「借手」が契約することで成立となりますが、そのためには不動産会社に賃貸の募集を依頼することになります。
募集する不動産会社はSUUMOやat-homeなどのポータルサイトを使い、借手を捜索します。
そして無事に借手が見つかり契約となった際に仲介手数料の支払いを受けることになり、最大で家賃1ヶ月分+消費税の手数料となります。
この仲介手数料は大家もしくは借手から全額というケースやそれぞれ折半というケースがあり、定めはありません。
家賃1ヵ月分+消費税という最大額を超えないのであれば、どのような分担も可能です。
ただし、大家に依頼した不動産会社ではない会社が借手を見つけることもあり、その場合は折半になるケースが多いでしょう。
なぜなら、不動産会社が2社仲介することになり、大家と借手はそれぞれに支払うことになるからです。
そのため、仲介手数料の支払いパターンには次の2パターンがあることを知っておきましょう。
大家が依頼した不動産会社が客付け:大家と借手が折半、もしくはどちらかが不動産会社に支払う
大家が依頼した不動産会社以外が客付け:大家と借手はそれぞれが依頼した不動産会社に支払う
売買の仲介手数料の仕組み
売買の仕組みも賃貸と同様に、売主から販売の依頼を受けた不動産会社が物件を公開し、買主を捜索する仕組みとなります。
そして、販売の依頼を受けた不動産会社が買主を見つけた場合、売主と買手が同じ不動産会社に仲介手数料を支払います。
また、売主側と買主側の不動産会社が分かれた場合、それぞれの不動産会社に手数料を支払うという点も賃貸と同じです。
賃貸と売買で大きく違う点として、仲介手数料の折半ができないという点と上限が売却代金によって異なるという点があります。
そのため、売主であっても買主であっても一般的に次に挙げられる仲介手数料の支払いが必要となります。
売却代金 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売却代金×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下 | 売却代金×4%+2万円+消費税 |
400万円を超える | 売却代金×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料の交渉を断られる場合
仲介手数料の交渉は断られることが多いですが、交渉を断られる場合には「賃貸」と「売買」それぞれに事情があるケースが多いです。
そこで、この章では不動産会社が仲介手数料の価格交渉を断るケースについて、解説します。
賃貸の場合は貸主からの広告料がない場合
賃貸の場合は仲介手数料とは別に「広告料」の支払いを大家から受けることができます。
そのため、広告料の支払いについて大家と取り決めができている物件については不動産会社としても利益が0にはなりませんが、取り決めがない場合は仲介手数料のみが利益となります。
このようなケースで仲介手数料の交渉をした場合、不動産会社は利益を減らしてまで借りてもらおうとは思わないでしょう。
その結果、価格交渉を断られることが多いです。
売買の場合は基本的に断られる
売買の場合は、原則仲介手数料の価格交渉は断られます。
その理由として、宅建業法では宅地建物取引業者(不動産会社)は仲介手数料以外で利益を得ることが原則禁じられているからです。
また、不動産会社が取り扱う物件は価格差が大きく、一律ではありません。
たとえば3,000万円の物件について販売依頼を受け、買主を見つけた場合は仲介手数料は次のようになります。
3,000万円×3%+6万円+消費税(10%)×2=211.2万円
一方、他社が公開している200万円の物件に対して買主を見つけた場合、仲介手数料は次のようになります。
200万円×5%+消費税(10%)=11万円
このように買主がどの物件を選ぶかによって仲介手数料が大きく左右され、利益も不安定となります。
そのため、利益確保とリスク回避という面から売買での仲介手数料交渉は難しいといえるでしょう。
仲介手数料の交渉しやすい物件の特徴
仲介手数料は交渉が難しい一方、通常よりも交渉が成功しやすいケースもあります。
価格交渉する上でもこの章で解説するポイントは非常に重要となるため、必ず押さえましょう。
仲介手数料無料の物件
賃貸の場合は「仲介手数料無料」という物件が公開されているため、価格交渉をすることなく仲介手数料を抑えることが可能です。
前述したように、賃貸の仲介手数料は大家と借手で折半することもどちらかが全額負担することも可能です。
つまり、仲介手数料が無料という物件は大家もしくは借手から家賃1ヵ月分+消費税の支払いを受ける契約形態となります。
そのため、仲介手数料は交渉せずとも無料となるため、おすすめです。
貸主に直接仲介してもらえる物件
貸主が不動産会社であったり知人である場合は「仲介」していないため、仲介手数料は無料となります。
後述する売却のケースにもあてはまりますが、当事者の契約に「仲介業者」としての不動産会社が介在しないのであれば仲介ではありません。
そのため、仲介手数料を支払う必要はないでしょう。
ただし、貸主が不動産会社ではなく親族や知人である場合は契約内容でトラブルになるケースが多く、注意が必要です。
なぜなら賃貸借契約はそれぞれの要望を擦り合わせし合意した内容となっているため、少しの勘違いで契約自体が成り立たなくなるからです。
このようなトラブルを避けるために不動産仲介業者が仲介業を営んでいるため、直接仲介は十分に注意しましょう。
長期で空室の物件
部屋や周辺環境、家賃に問題がある場合は募集が長期化し、借手が見つからないことがあります。
このような状態は家賃収入がなく修繕費だけがかかってしまう期間となるため、募集の依頼を受けている不動産としても多少仲介手数料を値引いても契約にしたいという意向があります。
そのため、部屋を探す際には募集期間をチェックしましょう。
売買の場合は売主物件
売買で仲介手数料が無料となるケースは、売主が不動産会社である場合です。
賃貸とは違い不動産会社が売主であっても販売委託会社が入るため仲介手数料はかかりますが、グループ全体としての収益を考慮すると仲介手数料の価格交渉を受ける可能性はあるでしょう。
ただし、このケースでは仲介手数料を交渉するよりも売却代金を交渉する方がコストを抑えることができます。
たとえば3,000万円の物件で仲介手数料を2%に交渉した場合と売却代金を2,900万円に交渉した場合では、次の違いがあります。
売却代金3,000万円 仲介手数料3% |
売却代金3,000万円 仲介手数料2% |
売却代金2,900万円 仲介手数料3% |
|
---|---|---|---|
売却代金 | 3,000万円 | 3,000万円 | 2,900万円 |
仲介手数料 | 105.6万円 | 72.6万円 | 102.3万円 |
支払い合計 | 3105.6万円 | 3072.6万円 | 3002.3万円 |
このように、売主が不動産会社である場合は売却価格の価格交渉をすることで必然的に仲介手数料も下がり、結果的にコストダウンとなるためおすすめです。
仲介手数料の交渉の仕方と例文
仲介手数料の交渉は基本的に難しいですが、タイミングがあれば成功するケースもあります。
ただし、手数料の交渉額や交渉の仕方によってはせっかくタイミングが良くても失敗することも多いです。
そこで、この章では仲介手数料の交渉方法について解説します。
仲介手数料の交渉はどれくらいが相場?
仲介手数料の交渉は「端数切り」がもっとも成功率が高くなります。
前述した3,000万円の物件を例に挙げると、105.6万円の手数料を100万円にするという交渉です。
売買の場合は非常に高額な契約のやり取りとなるためインパクトが小さく見えるかもしれませんが、不動産会社としても利益を積極的に減らす理由がないため成功しても端数切りで合意となるケースが多いです。
場合によっては半額という交渉で合意となることもありますが、その場合は不動産会社に落ち度があるケースが多く、通常の交渉では難しいといえるでしょう。
丁寧な対応を心がける
どのような交渉にも通じますが、高圧的な態度よりも穏やかで丁寧な態度の方が交渉は成功しやすいです。
さらに、仲介手数料の交渉をする相手は不動産のプロです。
たとえ担当者が新入社員だったとしても会社として対応するため、途中からベテラン社員が代わることになるでしょう。
このように、仲介手数料の交渉は最初から同じ土俵ではないことを知っておくことが重要です。
そのため、高圧的な「交渉」をするよりも低姿勢で「お願い」する方が、たとえ手数料の交渉はできなくとも何らかのサービスを受けることができる可能性は高くなります。
交渉材料を持って口頭で交渉する
たとえば服や時計といった「動産」を購入検討する際に、その場の雰囲気や担当者の営業トークに乗せられて購入してしまうケースもあるでしょう。
お祭りや百貨店で開催されている物産展は買いやすい空間づくりが重要ですが、不動産の価格交渉においても同じことがいえます。
不動産会社の担当者において顧客が契約を決めるタイミングはいわゆる「財布がゆるんだ」状態になるため、交渉を受けてもらいやすくなるといえます。
このように、「契約する」ことを条件にその場で仲介手数料の交渉をすることが大きなポイントです。
一方、その場で契約せずに一度家に帰り、メールで価格交渉をした場合は担当者も落ち着いてしまい、冷静に対応されてしまいます。
また、メールの文面は冷たく感じることがあるため、「契約」という交渉材料がある状態で口頭でしっかり交渉することが重要だといえるでしょう。
交渉の言い方やメールの例文
実際に仲介手数料の交渉をする際には、交渉の「具体性」が重要となります。
具体性とはこれまで担当者に伝えてきた要望と契約内容にある「差」のことで、そのギャップを埋めるための交渉であると伝えることがポイントです。
そこで、ここでは仲介手数料の価格交渉をする際の例文を解説します。
株式会社〇〇不動産 〇〇様
お世話になっております。本日物件を紹介いただきました〇〇です。
帰宅後に家族で話し合い、非常に良い部屋だったため契約を
検討しています。
しかし、当初から〇〇様にお伝えしていた家賃と大きな差があり、
決断できかねております。
そこで、もし可能であれば仲介手数料を〇円に値下げして
いただけませんでしょうか。
それが可能であれば契約することを約束いたします。
是非ご検討ください。
上記の例文では家賃が要望と乖離している点と、それでも契約を検討している旨を伝えています。
さらには「交渉」ではなく「値下げ」というワードを使うことでお願いであることをアピールしています。
このような文書であれば担当者も対応しやすく、たとえ仲介手数料の交渉ができなくともフリーレントなど他のサービスを提供してくれることもあるでしょう。
株式会社△△地所 △△様
お世話になっております。
本日は土地紹介、ありがとう御座いました。
結論からいうと前向きに購入を検討したく思います。
今後の進め方としては週末にハウスメーカーからプランの提示を受けることになりますが、予算がオーバーする可能性があり心配です。
そのため、削れる所がないか週末の面談時に打合せをする予定です。
大変不躾ですが、もし予算内に入らなかった場合は仲介手数料を値引いてもらうことは可能でしょうか。
申し訳御座いませんが御検討お願いいたします。
不動産の売買は想定外に費用がかかり予算オーバーとなることがよくあります。
そのため、不動産会社としても売買契約成立のために予算内に入るための協力は惜しみません。
そして、検討している物件が中々売れない場合は上記のような交渉を受けるースもあります。
〇〇さん
先日購入したマンションですが、契約時には説明されていないトラブルが多発しており、納得のいかない状態です。
契約時には駐車場が継承されるとの説明があり、特約にも記載があります。
しかし、先日の説明では入居後に一度契約解除となり、再度抽選という話でした。
これでは平面ではなく立体駐車場になる可能性もあり、その場合は車を買い替える必要があります。
また、今回の抽選で平面だったとしても将来までリスクを持つことになります。
これについて御社に対しなんらかの対応を求めたいです。
上記の例文は実際にあったトラブルが基になっています。
あまり良いケースではないですが、仲介業者のミスや説明不足でトラブルに巻き込まれた場合には仲介責任を追及することになるため、仲介手数料は交渉できます。
ただし、この場合は手数料の減額以上にマイナスとなる要因が多くなるでしょう。
こういった事態を回避するために何度も物件調査をし、責任をもった報告の対価が仲介手数料であるということも知っておきましょう。
仲介手数料の交渉のタイミング
ここまで仲介手数料の交渉が難しい理由と交渉方法について解説しましたが、仲介手数料の交渉がしやすいタイミングがあるのを御存知でしょうか?
交渉のタイミングを的確に知ることで、交渉成功の確率を高めることができます。
そこで、この章では仲介手数料の交渉をするタイミングについて解説します。
繁忙期は避ける
不動産業界は賃貸、売買問わず2~4月と9~11月は繁忙期となり、問い合わせが多いです。
そのため、価格交渉を受けるくらいなら他の顧客と契約するという選択肢がしやすくなります。
一方、閑散期である年末年始やお盆期間は収益が下がるため、仲介手数料を値引いても契約を優先する不動産会社もいるでしょう。
特に、不動産ポータルサイトに情報公開している不動産会社であれば売主から仲介手数料をもらうことができるため、積極的に交渉してみましょう。
契約前の意思確認時
不動産会社にとって、契約するかどうかの意思確認をするタイミングはもっとも緊張する瞬間といえます。
なぜなら顧客にどれだけの時間を費やしても契約にならなければ利益にならず、契約のジャッジをしてもらう瞬間だからです。
そのため、契約の申込書を記入するタイミングは仲介手数料交渉の最良タイミングだと知っておきましょう。
ただし、必ず契約することが前提条件です。
交渉したものの契約しないのであれば冷やかし行為だと思われ、それ以降の交渉は一切受け付けてもらえないばかりか、物件紹介も取りやめられる実例もあります。
このように、不動産会社にとって最重要ともいえる仲介手数料を交渉するのであれば、必ず契約するという交換条件は外さないようにしましょう。
審査後の支払うまでの間
賃貸借契約や売買契約の締結後に保証会社や住宅ローンの審査を受けることになります。
このタイミングは契約した後になりますが、契約を解除できないわけではありません。
そのため、気になる点がありさらには納得のいく回答が得られないなど不満を感じた場合には、不動産会社に対応を要求してみましょう。
そして、どうしても不満点が解消されない場合は解除することを前提として仲介手数料の交渉が通るケースもあります。
ただし、この方法についてはクレームまがいの言いがかりになると取り合ってもらえなくなるため、実際に不満を感じた場合にだけ交渉することをおすすめします。
仲介手数料の交渉に関するよくある質問
この章では仲介手数料の交渉に関するよくある質問について解説します。
仲介手数料1ヶ月は違法?
賃貸では仲介手数料を家賃の1ヵ月分を上限として請求することができます。
そのため違法ではありません。
ただし、大家と借手の合計が1ヵ月分以下となっている必要があるため、大家から0.5ヶ月分の支払いがある場合は借手からは0.5ヶ月分以下の支払いになります。
仲介手数料を値切る客はNG?
インターネットで「仲介手数料 値切る」と検索すると多くのサイトでノウハウを調べることができるため仲介手数料を値切る人は多いですが、根拠もなく値切るのはNGです。
その場合はただの迷惑客という扱いになり、多くの大家や売主と繋がっている会社であれば不誠実な顧客として申込自体をキャンセルされることもあるでしょう。
このような状況になってしまうと選択できる物件数が大きく減ってしまいます。
そのため、仲介手数料を値切る場合はしっかり理由を述べ、値切る必要性を伝えることをおすすめします。
仲介手数料が不動産会社ごとに違うのはなぜ?
仲介手数料の上限は法令によって定められていますが、下限はありません。
そのため、反響を増やすために上限よりも低い仲介手数料に設定している不動産会社も多いです。
このような戦略は特に借手や買主にマイナスとなる要素はないため、仲介手数料が安い不動産会社を見つけることができれば必ずアプローチしましょう。
仲介手数料の交渉まとめ
仲介手数料は不動産の賃貸や売買において必ず発生するものの、不動産会社の利益に直結するという特徴があるため価格交渉は難しいといえます。
ただし、交渉の仕方や内容、タイミングによっては可能となるため、事前にこの記事で解説したポイントを押さえておきましょう。