高断熱・高気密の家を建てられるハウスメーカーはどこ?メリット・デメリットも解説
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家づくりにおいて、デザイン性や間取りの自由度、耐震性など、こだわりたい部分は人によって異なります。
2024年現在では、デザイン性や耐震性に並び、気密性や断熱性を重視する人が増え、高気密・高断熱住宅が注目されています。
ただし、「高気密・高断熱住宅」といわれても、実際にどのようなポイントが高気密・高断熱になるのか分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、高断熱・高気密住宅のメリットやデメリットに併せて、高断熱・高気密の家を建てられるハウスメーカーについて詳しく解説しています。
目次
住宅における断熱性や気密性とは
下記では、住宅における断熱性や気密性について詳しく解説しています。
- 断熱性と気密性の違い
- 住宅性能を表す数値「UA値」とは
- 住宅性能を表す数値「C値」とは
- 住宅性能を表す数値「Q値」とは
住宅における断熱性や気密性について理解しておくと、より快適な家づくりを実現できます。
断熱性と気密性の違い
住宅における気密性とは、住宅の隙間を減らし外気の侵入を防ぐ、密閉性の高さを表しています。
気密性を高めるためには、建物の接合部分を気密シートなどの専用部材を用いて塞ぐとともに、隙間を丁寧に埋める工事をおこなわなければなりません。
そのため、高気密の住宅を建てる際は、一般的な住宅を建てるよりも施工に時間を要したり、コストが高くなったりするケースが多々あります。
ただし、住宅の気密性が高くなれば外気の影響を受けにくく、室内の温度をより快適にキープすることが可能です。
一方、住宅における断熱性とは、建物の外壁や内壁部分に専用の断熱材を導入し、外気温の影響を遮断する性能のことです。
高断熱住宅は一般的な住宅に比べ、より性能の高い断熱材や複層ガラスなどを採用することで外気の影響を抑える仕組みが導入されています。
気密性と断熱性はどちらも住まいの快適性に影響することから、高気密住宅の場合は高断熱のという性能も兼ね備えているのが一般的。
なぜなら、せっかく気密性を高めても、住まいに隙間があれば外気の影響を受け、室温が変化してしまうからです。
高気密・高断熱のどちらか一方では効果が半減してしまうため、基本的には高気密・高断熱をセットで導入してその効果を高めています。
住宅性能を表す数値「UA値」とは
外部への熱の逃げやすさを表すのが「UA値」です。
住宅の内部から「熱がどのくらい逃げやすいのか」ということを示した数値で、この数値が小さいほど「断熱性が高い」といえます。
下記がUA値を算出する計算式です。
UA値=各部位の熱損失量の合計÷外皮面積
この値は、国土交通省が公表している資料(※1・※2)のなかで、エリアごとに番号が振り分けられ、住宅性能表示の基準が定められています。
UA値は8つのエリアに分けて基準値が設けられ、断熱性能等級は7段階あり等級が高いほど断熱性能が高いです。
たとえば、東京23区なら区部が6なので「0.87W/m2・K」、北海道の札幌や夕張など大多数のエリアの区部は1もしくは2なので「0.45W/m2・K」となっています。
家づくりをおこなう上で断熱性にこだわるのであれば、「UA値」を1つの目安にしてハウスメーカーや工務店に相談するのがおすすめです。
2025年以降は断熱等級5以上が義務付けられるので、今後建てる住宅は断熱等級5がギリギリのラインで、断熱等級4以下では住宅としての性能が不足しているといえます。
税金の減税期間の延長や優遇が受けられる「長期優良住宅」や「ZEH住宅」の認定を受けたい方は、断熱等級5以上を確保してください。
住宅性能を表す数値「C値」とは
家の面積に対し「隙間の存在を示したもの」が「C値」。
この数値が小さいほど気密性の高さを表しています。
下記がC値を算出する計算式です。
C値=家全体の隙間の合計(㎠)÷建物の延床面積(㎡)
C値の測定は、専門の気密測定検査機を使用し、気密工事が終わったタイミングもしくは住宅の完成後におこないます。
ただし、C値に関してはハウスメーカーや工務店ではとらえ方がさまざまなため、事前にチェックしておくことが重要です。
住宅性能を表す数値「Q値」とは
熱の逃げやすさを表すのが「Q値」で、建物の延床面積に対しどのくらい熱が逃げやすいのかを示しています。
Q値には家の面積だけでなく、換気での熱損失も含まれているため、冷暖房を含めた住宅全体の断熱性能を知りたいときに有効です。
下記がQ値を算出する計算式です。
Q値=(総熱損失量の合計+換気による熱損失量の合計)÷床面積
Q値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能が高いことを示しています。
高断熱・高気密のハウスメーカーを選ぶメリット
高断熱・高気密のハウスメーカーで家を建てるメリットは下記の通りです。
- 光熱費が削減できる
- ヒートショックを予防できる
- 家が長持ちする
- 防音の効果が期待できる
これから家づくりをスタートさせる方は、ぜひチェックしてみてください。
光熱費が削減できる
高断熱・高気密の家は一般的な家に比べ、外気の侵入を防ぎ、室内の空気を逃しません。
また、冷暖房を効率よく利用できるため、夏は涼しく冬は暖かさをキープし、年間を通じて快適な暮らしを実現することで光熱費の削減にもつながります。
断熱性・気密性の低い家と比較すると、冷暖房を使用するために使うエネルギーを少なくできるため省エネになる点もメリットといえます。
ヒートショックを予防できる
外気の侵入・流出を防げるということは、各部屋の温度差を小さくできるということ。
温度差を小さくできると、暖かいリビングから出ると廊下やトイレが寒いという、急激な温度変化の心配がありません。
そのため、ヒートショック防止につながります。
急激な温度変化により、心臓や血管に大きな負担をかけてしまうことをヒートショックといい、心臓発作や脳梗塞を引き起こすリスクもあります。
特に、高齢者の方が寒い時期に浴室と脱衣所を移動することで起きやすいといわれていますが、高気密・高断熱の家なら家全体の温度差が低いので、そのリスクを軽減することが可能です。
家が長持ちする
家を長持ちさせるための重要なポイントの1つが、結露の防止です。
結露は外と部屋の中の気温差が大きいほど発生しやすくなります。
その点、断熱性・気密性に優れている家なら外気の温度を断熱できるため、結露が発生しにくいというメリットがあります。
特に冬場は結露の影響により、カビやダニが発生しやすく家にダメージを与えかねません。
また、気密性が高いことで湿気がこもりがちになり、結露ができやすいというイメージがありますが、換気をしっかりおこなえば、むしろ結露は発生しにくいです。
防音の効果が期待できる
高気密ということは壁に隙間がなくなることから、室内の音が外に漏れにくく、外部の騒音がほぼ入ってきません。
空気の侵入と流出を防ぐ効果の高い気密性ですが、空気だけでなく音の侵入・流出も防いでくれるため周囲を気にせず快適に過ごせます。
そのため、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭でも、家の中で思いっきり遊ばせてあげられるでしょう。
また、道路に面していて騒音が気になる場所に家を建てた場合も、高気密住宅ならその効果を十分に発揮してくれるはずです。
高断熱・高気密のハウスメーカーを選んで後悔しがちなデメリット
高断熱・高気密の家には数多くのメリットがありますが、その一方で注意しておきたいポイントもあります。
- 家を建てるのにかかる費用が高くなる
- 乾燥しやすい
- 窓が少なく小さい
- シックハウス症候群が起こるリスクが高まる
下記では、4つのデメリットについて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
家を建てるのにかかる費用が高くなる
高断熱・高気密住宅を建てるためには、断熱材をはじめ複層サッシなど、資材を用意する必要があるため、一般的な住宅に比べコストが高くなってしまいます。
断熱材の種類によっては価格が2倍以上違うものもあり、より高性能な住宅にしようとするとさらに費用がかかるので注意が必要です。
その一方で、初期費用は高いものの省エネ効果を考えると、快適に住める上将来的には元を取れる可能性もあります。
乾燥しやすい
高気密住宅は、常に換気システムを稼働させているため、空気が乾燥しやすく湿度管理が重要になってきます。
なぜなら、外気を取り込みにくくなることから、屋外の湿気が家の中に入りにくくなるから。
冬場は湿気が低いうえエアコンを使用する頻度がアップするため、特に乾燥していると感じやすくなってしまいます。
部屋干しすると洗濯物が乾きやすいというメリットがありますが、室内の乾燥を防ぐためにも、加湿器などを利用して湿度管理をしっかりおこなうようにしましょう。
窓が少なく小さい
高断熱・高気密を実現するためのポイントとなるのが、窓の大きさです。
他の部分に比べて断熱性や気密性が低いため、窓が大きいと部屋全体の断熱性や気密性が低下してしまいます。
そのため、必然的に窓の数が少なく小さくなってしまうのがデメリットです。
断熱性や気密性の効果をアップさせるために窓を小さくしてしまうと、開放感が失われるだけでなく、自然光が入りにくくなる可能性もあります。
開放的な空間をつくるためには、断熱性能の高い窓ガラスやサッシを採用するのがおすすめです。
シックハウス症候群が起こるリスクが高まる
シックハウス症候群とは、省エネルギー化により高気密・高断熱化が進み、人口建材や日用品から揮発する化学物質が部屋に充満して、それらを取り込んだ人が健康被害を訴えること。
住宅の気密性が優れていると、家の中の空気が滞りやすく、室内に同じ空気がとどまっていると空気の質が悪くなってしまいます。
そのため、気密性の低い家に比べシックハウス症候群が起こるリスクが高まってしまいます。
高断熱・高気密住宅を検討しているなら、化学物質が少ない材料を使用したり、換気計画をしっかりおこなうなど、事前に対策をとることをおすすめします。
高断熱・高気密の家が建てられるおすすめのハウスメーカー3選
ここでは、高断熱・高気密の家に定評のあるおすすめのハウスメーカーを3社ピックアップしています。
- 一条工務店
- セキスイハイム
- アイフルホーム
各社、特徴や取り扱っている住宅商品が異なるので、自分のライフスタイルに最適なハウスメーカーを選びましょう。
一条工務店
画像提供元/一条工務店公式サイト
UA値 | 0.25W/m2・K(i-シリーズⅡ) |
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断熱性を表すQ値 | 0.51W/m2・K |
気密性を表すC値 | 0.59㎠/㎡ |
高断熱や高気密性能に優れた住宅商品を提供している一条工務店。
窓には樹脂サッシのトリプルガラスを採用し、防犯合わせガラスにも対応しています。
気密性・断熱性が高い構造で、常に省エネ空間を実現。
家自体の保温力が高いことから、エアコンの設定温度を下げすぎず、上げすぎずに快適に過ごせます。
耐震性や断熱性など、住宅性能にこだわりたい方、業界トップクラスの高断熱・高気密による省エネな暮らしがしたい方におすすめのハウスメーカーです。
セキスイハイム
画像提供元/セキスイハイム公式サイト
UA値 | 0.53W/m2・K |
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断熱性を表すQ値 | 1.60W/m2・K(標準仕様) |
気密性を表すC値 | 0.99㎠/㎡ |
木質系と鉄骨系の住宅商品を取り扱っているセキスイハイム。
断熱性能は木質系の方が優れています。
セキスイハイムが提供している「グランツーユー」はツーバイシックスのため、高い断熱性能を発揮。
窓をグレードアップすることで、高断熱住宅となります。
セキスイハイムでは建物の完成後に気密性の測定をおこなっていて、1.0未満の高い数値を期待できます。
セキスイハイムのような気密性の高さは、他のハウスメーカーでは一条工務店とスウェーデンハウスのみです。
気密性の高さをオプションで補うことは難しいので、とても大きなポイントといえます。
アイフルホーム
画像提供元/アイフルホーム公式サイト
UA値 | 0.27W/m2・K |
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断熱性を表すQ値 | 0.70W/m2・K |
気密性を表すC値 | 0.61㎠/㎡ |
構造用面材と断熱材を一本化したパネルを採用し、断熱性はもちろん耐震性にも優れているアイフルホーム。
高断熱・高気密機能を発揮するため、24時間全館冷暖房をおこなって家中の温度を一定にしても、あまり電気代がかからないほど断熱性に優れています。
熱損失の影響を受けずに計画換気が可能なうえ、経年劣化で建物に隙間が増えても快適に暮らせます。
高断熱・高気密のハウスメーカーに関するよくある質問
ここでは、高断熱・高気密の家に関するよくある質問を3つ紹介しています。
- 高断熱・高気密の家はローコストで建てられる?
- 高断熱・高気密の家は息苦しい?
- 高断熱・高気密の家はカビが生えやすい?
これから、機能性に優れた家づくりを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
高断熱・高気密の家はローコストで建てられる?
ローコスト住宅でもハウスメーカーにより高気密・高断熱住宅を標準仕様にしているメーカーがあります。
また、標準仕様にしていなくても、別途費用で対応可能な会社があるので、ハウスメーカーを決める際にチェックしておきましょう。
下記のハウスメーカーでは、ローコスト住宅で高気密・高断熱の家を取り扱っています。
- アイフルホーム
- アエラホーム
- クレバリーホーム
- タマホーム
- トヨタホーム
- ヤマダホームズ
高断熱・高気密住宅をローコストで建てたいと思っている方は、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
高断熱・高気密の家は息苦しい?
高断熱・高気密住宅は、隙間の総面積が少ないという特徴があります。
外気が部屋の中に侵入するのを防ぐため、窓の数が少なく小さいので「高気密・高断熱住宅は息苦しい」と考えている方が多いようですが、これは間違いです。
なぜなら、高気密・高断熱住宅は完全密閉ではなく、戸建でもマンションでも24時間換気システムの設置を義務付けられているため、息苦しくなることはありません。
高断熱・高気密の家はカビが生えやすい?
高断熱・高気密住宅は隙間が少なく、外気の侵入や流出を防ぐことから、室内に湿気がこもり、これがカビの発生しやすい環境になってしまうと考える方が多いようです。
確かに、気密性が高いと隙間風などが侵入してくることはありません。
ただし、高断熱・高気密住宅は、24時間換気システムを稼働させることで、室内の湿気は効率よく排出され、カビの発生しにくい環境になっているため、高断熱・高気密住宅=カビが生えやすいということはありません。
また、カビの発生の大きな原因となるのは壁や窓に発生する結露ですが、高断熱・高気密住宅では、外気温を室内まで伝えないため結露も発生しにくい状況です。
カビや結露の発生を防ぐためには、除湿器やサーキュレーターなどを使用し、湿気が溜まらないようにすることも有効です。
高断熱・高気密のハウスメーカーまとめ
高断熱・高気密住宅には、年間を通じて快適に過ごすためのメリットがたくさんあります。
その一方で、一般的な住宅に比べ建築時のコストが高くなる傾向があるのも事実です。
家づくりをスタートさせ、高断熱・高気密住宅を検討している場合は、複数のメーカーを比較し自分のライフスタイルに最適なハウスメーカーを選ぶようにしましょう。
きっと、理想の高断熱・高気密住宅を建てられるはずですよ。