相続した不動産を売却するために必要な手続き一覧!確定申告や税金についても解説!
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相続した不動産を売却する際には、どのような手続きをする必要があるでしょうか。
相続で取得した不動産は通常の不動産とは違い、売却前にやるべきステップがあります。
そこで、この記事では相続した不動産を円滑に売却するために、必要な手続きや税金について解説します。
目次
相続した不動産の必要な手続き
相続した不動産の場合、次のステップが必要です。
- 相続人の誰が不動産を習得するのかを決める
- 相続登記を行う
- 相続にかかる税金を支払う
法定相続人の数によっては、売却するまでに数年かかることもあります。
そのため、相続が発生した場合はなるべく早い段階で不動産会社か司法書士に相談しましょう。
なお、「法定相続人」とは相続権を持つ全員のことで、「相続人」は実際に相続した人となります。
このような専門用語は使い分けが難しいため、混同しないように注意しましょう。
遺言書もしくは法定相続をベースとした遺産分割協議
不動産を取得する人を決める際には、被相続人が遺言書で指定した人か法定相続をベースとした遺産分割協議にて決めることができます。
なお、遺言書と遺産分割協議では一般的に遺言書の内容が優先されますが、その内容に法定相続人が不服だった場合、法定相続人全員の合意をもって遺産分割協議の内容を優先することができます。
こうすることで遺産分割ができないというトラブルを防ぐことができ、不動産の取得を円滑に進めることができるでしょう。
また、遺産分割協議では「どの財産を誰が相続するのか」という内容を決めることができ、相続放棄や相続放棄した法定相続人も記載可能です。
この書類は後述する相続登記をする上でも重要な書類となるため、相続登記を依頼する司法書士に作成を依頼しましょう。
相続の登記
不動産を相続する人が決まれば、司法書士に相続登記を依頼しましょう。
相続登記をすることで不動産の真なる所有者となり、安全に不動産売却を進めることができます。
なお、相続登記は令和6年4月1日より義務化され、 相続を知った翌日から3年以内に相続登記をしなければなりません。
さらに、相続登記をしなければ固定資産税の納付書が正しい所有者に郵送されず、滞納となるリスクもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、不動産をすぐに売却する予定がなくても相続登記は先にしておきましょう。
不動産を相続した際にかかる税金
不動産を相続し相続税が発生する場合、税務署に申告するのが一般的です。
この申告をするためには不動産を取得する人や財産分与の内訳が決まっている必要があり、期限は相続を知った翌日から10ヶ月以内です。
この期間内に法定相続人全員で協議する必要があるため、司法書士などの代理人を立てて進めるのがおすすめです。
なお、相続税の計算方法は後述する「相続した不動産を売却する際にかかる税金と控除」で詳しく解説します。
相続した不動産を売却する流れ
法定相続人との協議が終わり無事に相続登記できれば、いよいよ売動産を売却するステップになります。
相続した不動産の売却は以下の流れで進んでいきます。
- 不動産の査定
- 不動産の売買契約締結
- 決済と不動産の引き渡し
不動産の売却をスムーズに進めるためにも、この章で解説するポイントをしっかりチェックしましょう。
不動産の査定
不動産を売却するためには、まず不動産を査定し売却価格の目安を知る必要がありますが、複数の不動産会社から査定額を提示してもらうことで最適な売却価格をイメージすることができます。
ただし、不動産会社に1社1社連絡するのは非常に工数がかかり、査定額をスムーズに確認することは難しいでしょう。
そこで、不動産の査定を知る際には不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。
HOME4UやすまいValueといったおすすめの不動産一括査定サイトはインターネット上で不動産査定を複数社に同時依頼することができ、情報入力も一度ですみます。
また、費用がかからないという点や査定額提示のタイミングを売主都合で選べるというメリットがあるため、効率良く査定依頼を進めることができるでしょう。
不動産の売買契約締結
一括査定によって複数の不動産会社から査定額の提示を受け、信頼できる不動産会社を見つけることができれば、いよいよ販売開始です。
不動産会社はインターネットや紙媒体で広告し、買主を捜索します。
そして、買主が見つかれば不動産売買契約の締結となります。
不動産売買契約では、まず重要事項説明書の説明を買主に宅建士が行い、納得した上で契約書の読み合わせとなります。
その後、売主と買主がそれぞれ契約書に署名押印することで契約締結となり、最後に不動産決済の日程を決めて解散となります。
このタイミングで売主が用意する書類などはありませんが、契約書の原本を保有する場合は印紙税が発生するため、事前に印紙税額を不動産会社に確認しましょう。
決済と不動産の引き渡し
売買契約が締結された後には、不動産決済に向けて準備を進めます。
売主は契約内容に基づいた残置物の撤去を行いますが、決済には住民票や印鑑証明、登記識別情報通知、実印が必要となるため、なるべく早い段階で準備しましょう。
特に、登記識別情報通知を紛失している場合は司法書士と事前面談が必要となり、別途費用がかかるため注意が必要です。
そして、売主と買主の準備が整えば決済の実行が可能となり、決められた日時に残代金の精算と不動産の所有権移転を実行して完了となります。
なお、決済は金融機関と法務局が開いている平日の午前中に実行するケースが多いため、仕事の調整が必要となることもあるでしょう。
そのため、準備不足による決済延期とならないよう、注意が必要です。
相続した不動産の売却後の流れ
この章では、相続した不動産の売却後に必要な手続きについて、解説します。
換価分割
不動産の遺産分割内容が、不動産を換金し現金によって遺産分割する「換価分割」だった場合、法定按分に沿って売却益を分ける必要があります。
ただし、不動産決済では一度売主に振込をする必要があるため、売却完了時点では1人の相続人が売却益を保有している状態です。
そのため、換価分割のタイミングが先になった場合、売主である相続人は譲渡所得税額の分だけ損をする可能性があります。
たとえば法定相続人が4人で売却益が1,800万円、譲渡所得税が約720万円となった場合、確定申告後の換価分割であれば、残った1,080万円の中から約810万円を他の3人に分けることになります。
一方、換価分割した後に確定申告してしまうと1人あたり450万円となり、1,350万円を3人に分け、その後売主だけが720万円が引かれてしまいます。
つまり、売主は270万円の赤字となってしまうことになり、不満の残る不動産売却となってしまうでしょう。
このような失敗をしないためにも、売却価格の設定から税金の支払い、分割タイミングまで全て把握した上で進めることが重要です。
確定申告
不動産を売却した場合には「譲渡所得税」が課税されるケースがあり、売却完了した翌年の確定申告によって納税額が決まります。
また、確定申告には次の書類が必要となるため、あらかじめ準備しましょう。
不動産売却の確定申告に必要な書類一覧
- 確定申告書B様式(第一表)
- 確定申告書第三表(分離課税用)
- 本人確認書類
- 全部事項証明書
- 譲渡所得内訳書
- 取得にかかった諸費用が確認できる契約書と領収書のコピー
- 不動産売買契約書
- 売却にかかった諸費用が確認できる領収書のコピー
- 源泉徴収票(税制控除を受ける場合)
相続した不動産を売却する際にかかる税金と控除
不動産を相続し、その後売却する場合には様々な税金がかかります。
また、それぞれの税金は支払うタイミングも額も大きく変わるため、事前に知っておくべきでしょう。
そこで、この章では不動産を相続し売却した際の税金と、税金控除について解説します。
- 相続税と基礎控除
- 登録免許税と軽減措置
- 印紙税と軽減措置
- 譲渡所得税と特別控除
- 消費税
ご自身が適用できる控除や軽減措置がないかチェックしてみてください。
相続税と基礎控除
相続税の算出には、基礎控除を超えるかどうかがポイントになります。
基礎控除によって相続課税額を大きく減らすことができるため、次の計算式を使って事前に基礎控除額を確認しましょう。
基礎控除額計算式:3,000万円+(600万円×法定相続人)
たとえば父、母、息子2人の家族構成で父が死亡した場合、基礎控除額は4,800万円です。
つまり、不動産を含めた全ての相続課税額が4,800万円以下であれば、相続税は免税となります。
なお、この計算で使用する法定相続人には、相続放棄した人や相続破棄された人もカウントできるため、間違えないようにしましょう。
登録免許税と軽減措置
登録免許税とは所有権が移転した際に支払う税金のことで、「相続時点」と「売却時点」のタイミングで登録免許税が課税されることになります。
それそれの登録免許税の税率については、以下の通りです。
所有権移転のタイミング | 税率 |
---|---|
相続時(被相続人から相続人) | 0.4% |
売却時(売主から買主) | 0.2%※1 |
※1 令和5年3月31日までの間に登記を受ける場合は0.15%
なお、相続人が相続する前に死亡した場合や、評価額が100万円以下の場合であれば、登録免許税が免税となる軽減措置があるため、知っておきましょう。
印紙税と軽減措置
印紙税は不動産売買契約書に貼付し、消印することで納税となる税金です。
また、印紙税率は売却価格によって大きく変わるため、あらかじめ次の表で確認しましょう。
売買価格 | 印紙税率(軽減前) | 印紙税率(軽減後) |
---|---|---|
10万円を超え、50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え、100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え、500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
1,000万円を超え、5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え、1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円を超え、5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円を超え、10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円を超え、50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円を超える | 600,000円 | 480,000円 |
なお、遺産分割協議書は課税文書ではないため、印紙税は不要です。
譲渡所得税と特別控除
譲渡所得税は、相続した不動産を売却した際にかかる税金となり、課税額の計算方法と税率は、次のようになります。
課税額の計算式:
売却代金-売却時の諸費用-取得費-取得時の諸費用
【税率】
- 所有年数が5年以下の場合:39.63%
- 所有年数が5年を超える場合:20.315%
相続によって取得した不動産の場合、購入時の契約書や領収書が残っていないケースも多いですが、この場合の取得費は売却代金の5%となります。
たとえば取得時の書類を全て紛失している不動産を相続し、翌年に売却して手残り額が5,000万円だった場合、譲渡所得税は約1,883万円となります。
このように課税額が高額になりやすい譲渡所得税ですが、相続税を支払った不動産を3年以内に売却した場合、相続税を取得に加算できる特別控除があります。
それ以外にも、居住用財産に関する特例や空き家に関する特例など、譲渡所得税を下げる特別控除は多いです。
そのため、相続した不動産を売却する際には、なるべく早く不動産会社に相談し、利用できる特別控除を把握しましょう。
消費税
相続した不動産自体には消費税はかかりませんが、確定測量や解体費、仲介手数料には消費税が含まれます。
そのため、相続した時点で把握した諸費用が税改正によって大きく変わる可能性があることを、知っておきましょう。
相続した不動産を売却する際の注意点
この章では、相続した不動産を売却する際の注意点について、解説します。
多くの売主が不動産の売却に慣れておらず、よく分からないまま売却を進めるケースも多いです。
中には予想外のトラブルに巻き込まれる売主もいることから、後悔や失敗は避けたいものです。
この章で解説する以下のような注意点をあらかじめチェックしましょう。
- 換価分割するならスムーズに高く売ってくれる不動産会社を見つける
- 相続人は複数の場合はそれぞれの承諾や書類が必要
- 相続税はあくまでも不動産に対してかかる
- 相続後3年を経過すると特例を受けられない
- 取得費は被相続人の購入金額になる
換価分割するならスムーズに高く売ってくれる不動産会社を見つける
換価分割は不動産を換金し、法定按分通りに分ける分割方法ですが、売却期間が長くなるといつ換価分割できるのかが分からなくなってしまいます。
また、売却価格が安いと分割金額も安くなり、他の相続人が反感を買うケースもあります。
そのため、分割方法で換価分割を選択する場合には、高値売却と早期売却を両立できる不動産会社を見つけることが重要です。
この2つを両立できる不動産会社を見つけるためには、多くの不動産会社とコンタクトを取る必要があるでしょう。
そこで、効率良く不動産会社を探すためにも、一括査定サイトの利用がおすすめです。
相続人は複数の場合はそれぞれの承諾や書類が必要
不動産の所有権を共有で取得する「共有分割」を選択した場合、売却する際には全員の合意が必要となります。
不動産売買契約や決済といった実務的な部分においては、他の共有者から委任状を取得することで相続人の1人が代理行為を実施できます。
しかし、売却すること自体や売却価格については、売却前に全員が合意していることが必須です。
なぜなら、販売中や契約後に他の相続人が売却価格を知った場合、合意が解除されるトラブルにもなりかねないからです。
このようなトラブルを避けるためにも、共有分割した不動産を売却する際には他の相続人と事前に合意をしましょう。
相続税はあくまでも不動産に対してかかる
相続税はそれぞれの財産を取得した相続人が支払い義務を負うため、不動産の相続税は所有者が支払うことになります。
そのため、どのような分割方法を採用したとしても、相続税の支払い義務を免れることはできないため、注意しましょう。
相続後3年を経過すると特例を受けられない
相続した不動産を売却する場合、発生した相続税を「取得費」に加算できる特例があります。
「取得費」は不動産を売却した際にかかる譲渡所得税の計算に使用でき、取得費が多いほど課税額を減らすことができます。
そのため、相続税を払って取得した不動産の場合であれば必ず利用すべき特例ですが、相続税の申告から3年以内の売却でなければ利用できないことを知っておきましょう。
取得費は被相続人の購入金額になる
譲渡所得税の計算で使用する「取得費」ですが、被相続人が購入した金額となり、購入金額の証明は不動産売買契約書となります。
しかし、相続した不動産の契約書が残っていないケースも多く、残代金や手付金の領収書や権利証が証明となると勘違いする売主もいます。
このような失敗をしないためにも、「取得費の証明は売買契約書のみ」と覚えておきましょう。
相続した不動産の売却まとめ
不動産を相続によって取得し、売却するためには法定相続人で協議し、誰が取得するのかを決める必要があります。
そして、法定相続人の合意を得て相続登記し、真なる所有者として売却を進めることで、売却後のトラブルを防ぐことができます。
ただし、相続した不動産を売却するためには、様々な税金がかかり計算方法も違います。
そのため、安全に不動産を売却し、さらに正確な手残り額を把握するためにも、なるべく早くに不動産会社へ相談することをおすすめします。