住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由は?繰り上げ返済のメリットや得するワザも解説

本ページはプロモーションが含まれています

マイホームを購入する際に多くの方が利用する住宅ローン。

2023年8月には、地方銀行を中心に取り扱っていた50年ローンがネット銀行及び大手銀行として初めて住信SBIネット銀行でも提供が始まり、注目を集めています。

ただし、長期にわたって返済しなければならないため、多くの方が繰り上げ返済をおこなっています。

繰り上げ返済には、月々の返済額が少なくなったり、返済期間が短縮できたりと、メリットがある一方でデメリットも存在します。

そこで今回は、繰り上げ返済をしてはいけない理由や繰り上げ返済のメリットや得するワザについても詳しく解説します。

また、おすすめの繰り上げ返済シミュレーションサイトも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

住宅ローンの繰り上げ返済とは

月々の返済額のほかに、まとまった額を返済する繰り上げ返済は、目的に合わせて2つのタイプがあります。

繰り上げ返済した分は、すべて元本に充てられます。

そこで今回は、返済方法の種類や手数料についても詳しく解説しているので、この機会にチェックしてみてください。

期間短縮型


画像提供元/SBI新生銀行公式サイト

毎月の返済額を変えずローンの返済期間を短くすることで、総返済額が少なくなるのが、期間短縮型の特徴です。

返済期間を短くする期間短縮型は、月々の返済額を軽減できる返済額軽減型に比べ、支払利息の軽減効果が大きいのが最大のメリットといえるでしょう。

なるべく早く完済したい方、支払利息の負担を軽減したい方は、ぜひチェックしてみてください。

返済額軽減型


画像提供元/SBI新生銀行公式サイト

「返済額軽減型」の効果をもっとも実感できるのは、金利が上昇し毎月の返済額が増加したときといわれています。

ただし、月々の返済額が減少しても返済期間が変わらないことから、支払利息の軽減効果は期間短縮型に比べ低いのが特徴です。

そのため、月々の返済額を抑え家計を安定させたい方に向いている返済方法といえます。

住宅ローンの繰り上げ返済にかかる手数料

2023年現在、借入額の一部をインターネットにより繰り上げ返済する場合の手数料は、ほとんどの金融機関で無料となっています。

ただし、地方銀行の一部や信用金庫・信用組合などは、店頭での手続きのみというケースもあり、その際は5,000円〜30,000円程度の手数料がかかります。

事前に、手数料も確認したうえで繰り上げ返済をおこなうようにしましょう。

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由

住宅ローンの繰り上げ返済をしてはいけない理由として、下記の3つが挙げられます。

  • 手元の資金が減ってしまう
  • 団体信用生命保険を活用できなくなる
  • 金利が低い

繰り上げ返済を検討している方は、リスク回避のためにもぜひチェックしてください。

手元の資金が減ってしまう

繰り上げ返済をするためには、ある程度まとまった資金が必要です。

そのため、住宅ローンの返済ばかり気にしすぎて手持ち資金が減少しすぎないように注意しなければなりません。

なぜなら、手持ち資金が少なくなってしまうと、突然の支出に対応できなくなる可能性があるからです。

よくある突然の支出には、下記のようなものがあります。

  • けがや病気での入院
  • 親の病気や介護の支出
  • 家具や家電の故障の修繕費や買い替え
  • 家のメンテナンス
  • 冠婚葬祭費用
  • 転職・退職による収入の減少

とはいえ、なるべく早く元本を減らしたいという方には、少額を定期的に返済することをおすすめします。

ただし、繰り上げ返済には手数料が必要な場合は、手数料がかさんでしまう恐れがあります。

お得に返済するためにも、手数料の有無や金額は事前にチェックしておきましょう。

団体信用生命保険を活用できなくなる

団体信用生命保険とは団信と呼ばれ、住宅ローンの返済中に万が一契約者なくなってしまった場合、保険金により残りの住宅ローンを完済できる保険です。

団体信用生命保険金は住宅ローンの残高と同額なため、住宅ローンの残高のみが、団信の保険金により返済されます。

また、退職金により全額繰り上げ返済をして亡くなってしまったら、住宅ローンの残高がないため団信の保険金もありません。

団信のなかには、死亡時だけでなくがんと診断されたら返済が免除されるタイプもあります。

ただし、がんと診断されたときに繰り上げ返済で住宅ローンを完済していたら保険が下りません。

そのため、全額繰り上げ返済した後がんと診断され、「繰り上げ返済分を治療費に残しておけばよかった」と、後悔してしまうこともあるようです。

繰り上げ返済をおこなう際は、突発的な出費も考慮し、長期的な資金計画を立ててからおこないましょう。

金利が低い

住宅購入専用のローンということから、数あるローンのなかでも最も金利が低いことから、繰り上げ返済をしてはいけないといわれることがあります。

手持ち資金が少なくなるまで繰り上げ返済をおこなうと、突発的に高額な支出が発生した場合、他のローンに頼らなければならなくなってしまう可能性がでてきます。

いざというときに慌てないためにも、繰り上げ返済をおこなう際は、他のローンの金利もチェックしたうえで検討するようにしましょう。

平均的な金利の目安

ローンの種類 金利の目安
住宅ローン(長期固定) 15~20年:1.400%

21~35年:1.880%

 

(2023年10月フラット35最頻金利)

住宅ローン(変動) 0.3~1.0%
自動車ローン 2~10%
教育ローン 国の教育ローン:2.25%

1.5~3.5%

フリーローン(銀行系) 5~15%
消費者金融 15~18%

突然の出費でも、金利の高いローンに頼らないで済むように注意してください。

住宅ローン控除が減る

住宅ローン控除は、最大13年間住宅ローンの残高の0.7%分が控除され、税金を安くすることが可能です。

控除額の0.7%より住宅ローンの金利が高い場合は、控除期間中でも繰り上げ返済をおこなった方が負担軽減の効果を得られます。

ただし、繰り上げ返済の手続きには手数料が発生するケースがあることも考慮しておきましょう。

住宅ローンを繰り上げ返済するメリット

ここでは、繰り上げ返済の2つのメリットについて解説します。

  • 支払利息を削減できる
  • 月々の家計を安定させられる

繰り上げ返済を検討している場合は、注意点と一緒にメリットもチェックしておきましょう。

支払利息を削減できる

ローンを借りている間は、借入残高に対し利息が付くため、返済のときは元本+利息を支払わなければなりません。

繰り上げ返済すると、元本にかかる分の利息を少なくできることから、トータルの支払額もかなり削減できます。

月々の家計を安定させられる

月々の返済額を減らすことで、家計に余裕が生まれます。

そのため、教育資金や介護などで毎月の出費が増えるタイミングを考慮し、返済額軽減型で繰り上げ返済すれば、支出のコントロールができ家計を安定させることが可能です。

住宅ローンの繰り上げ返済で得するワザ

お得に繰り上げ返済ができる方法は下記の3つです。

  • 早いタイミングで繰り上げ返済する
  • 期間短縮型を選択する
  • 繰り上げ返済と住宅控除のメリットを比較する

繰り上げ返済をおこなう前に、しっかり特徴を把握しておきましょう。

早いタイミングで繰り上げ返済する

早ければ早いほど、利息軽減効果があります。

なぜなら、ローン残高に対して金利がかかるため、ローン残高が多いとより金利の負担軽減効果を実感できるからです。

期間短縮型を選択する

返済額軽減型と期間短縮型では総返済額に差が生じるため、より支払利息を軽減できる期間短縮型を選ぶようにしましょう。

下記で、簡単に試算してみました。

例:返済5年目に300万円を繰り上げ返済したケース
ローンの金額:3,000万円
返済期間35年(ボーナス返済なし)
金利:1.5%(全期間固定・元利均等方式)

通常のケース 期間短縮型 返済額軽減型
毎月返済額 91,855円 91,855円 81,501円
残り返済期間 30年 25年11か月 30年
返済額合計 38,579,100円 37,036751円 37,851,660円
利息軽減額 なし 1,542,349円 727,440円

期間短縮型は、返済期間を約4年短縮でき、返済額軽減型では月々の返済額を約1万円減額できます。

総返済額を比較すると、返済額軽減型は約72万円、期間短縮型は約154万円も利息を軽減することが可能です。

期間短縮型は返済額軽減型の約2倍も利息軽減効果があるため、繰り上げ返済するなら期間短縮型を選ぶようにしましょう。

繰り上げ返済と住宅控除のメリットを比較する

繰り上げ返済には、目的の異なる「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あり、それぞれ特徴が異なります。

期間短縮型 繰り上げ返済された金額に応じ、

返済期間を短縮できる

返済額軽減型 繰り上げ返済された金額に応じて、

毎月の返済額を軽減できる

繰り上げ返済額が同じ場合は、期間短縮型の方が返済負担の軽減効果は大きくなります。

一方、住宅ローン控除は自分で住むための家を購入・リフォームするために住宅ローンを借りた人が利用できる制度で、住宅ローン減税と呼ばれることもあります。

年末時点の借入残高の0.7%もしくは1%を所得税や住民税から控除できる「税の優遇制度」です。

控除期間は以下の通り。

入居したタイミング 控除期間
2014年4月~2021年末 ・最長10年


・年末時点の借入残高×1%と「建物部分の取得価格×2%÷3」のどちらか低い金額

2022年1月~2025年末 ・新築住宅/買取再販の中古住宅(要件を満たすもの):最長13年

・中古住宅(既存住宅):最長10年

 

年末時点の借入残高×0.7%

住宅ローン控除は、2022年4月の改正で控除率が1%から0.7%へ引き下げられました。

そのため、借入金利が住宅ローン控除の控除率を超えている方ほど、繰り上げ返済を優先させたほうがメリットを得られやすいという特徴があります。

また、控除率が金利1%未満の場合は、控除期間が終了してから繰り上げ返済をおこなったほうが良いといえます。

住宅ローンの繰り上げ返済がシミュレーションできるサイト5選

下記では、繰り上げ返済をシミュレーションできるサイトを5つピックアップしました。

利用している金融機関やこれから利用する予定の金融機関のシミュレーションサイトを利用するのがおすすめです。

サイト名 一部繰り上げ返済(Web経由) 全額繰り上げ返済(Web経由)
三井住友銀行|一部繰上返済シミュレーション 0円 5,500円
JAバンク|住宅ローンシミュレーション(繰上返済) お借入のJAにより手数料や繰り上げ返済の条件が異なる。 お借入のJAにより手数料や繰り上げ返済の条件が異なる。
みずほ銀行|住宅ローン一部繰上返済シミュレーション 0円 不可
SBI新生銀行|住宅ローン 繰上返済シミュレーション 0円 0円
日本住宅ローン|住宅ローンシミュレーション 0円 0円

画像提供元/三井住友銀行公式サイト

三井住友銀行の一部繰り上げ返済では、別途所定の手数料が必要です。

繰り上げ返済方式として「期間短縮」を選んだ場合、繰り上げ返済金額として入力した金額以内の最大値となるように、毎月の約定返済元金部分を合計し、繰り上げ返済金額に達する時点までの返済期間を短縮するものと仮定しております。


画像提供元/JAバンク公式サイト

JAバンクのシミュレーションでは、借入期間中を通して、借入金利は変わらないものと仮定されています。

「元金均等返済」を選択した場合に現在条件に表示される、「毎月返済額」は繰り上げ返済回の繰り上げ前返済金額。

「ボーナス返済額」は繰り上げ返済回直後のボーナス返済回の繰り上げ前返済金額が表示されます。

また、JAバンクで繰り上げ返済をおこなう場合、住宅ローンを利用したJAにより手数料や繰り上げ返済可能額などが異なるため、事前にチェックしておきましょう。


画像提供元/みずほ銀行公式サイト

みずほダイレクト(インターネットバンキング)での一部繰り上げ返済の期間短縮は月単位でのお取り扱いとなり、返済金額は、1万円以上1億円未満となっています。

一部繰り上げ返済をする場合、次回の返済日に一部繰り上げ返済金額だけでなく、現在のお借入条件に基づく定例の返済額が引き落とされます。

また、ボーナス月加算返済をご利用中の方が、増額月以外に一部繰り上げ返済をする場合、直前の増額月の返済日から一部繰り上げ返済をする次回ご返済日までの未払利息も引き落としになるので注意してください。


画像提供元/SBI新生銀行公式サイト

SBI新生銀行の住宅ローン繰り上げ返済シミュレーションは、期間短縮型を前提とし繰り上げ返済手数料はかからないものとして試算しています。

こちらのシミュレーションは簡易的なもので、任意で設定した借入金額・借入期間・金利に基づき、返済額・諸費用など、概算を試算することが可能です。


画像提供元/日本住宅ローン公式サイト

日本住宅ローンは、積水ハウス・大和ハウス工業・住友林業・セキスイハイム・三菱HCキャピタルの共同出資により誕生した住宅ローン専門の金融機関です。

積水ハウス・大和ハウス・住友林業・セキスイハイムなど、4大ハウスメーカーと提携し、長期にわたって安心できるローンを提供しています。

日本住宅ローンでは融資の際に金利が決定し、金利は毎月見直されます。

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由に関するよくある質問

ここでは、よくある質問を3つ紹介します。

  • 住宅ローンを繰り上げ返済すべきタイミングは?
  • 住宅ローンの繰り上げ返済をしたほうがいい人はどんな人?
  • 住宅ローンを繰り上げ返済せずに投資すべき?

繰り上げ返済を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

住宅ローンを繰り上げ返済すべきタイミングは?

ローン残高が多い時期が、繰り上げ返済をおこなうベストなタイミング。

そのため、住宅ローンの返済がスタートしたら、なるべく早い時期におこなうのがおすすめです。

たとえば、ローンの残高が2,000万円のときに500万円繰り上げ返済した場合、1,500万円の残高で返済額を再計算することになります。

借入金額が少なくなるほど、支払利息も少なくなるので、効果は絶大。

ただし、繰り上げ返済はいざというときのため十分な預貯金の確保したうえでおこなうようにしましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済をしたほうがいい人はどんな人?

繰り上げ返済をした方が良いのは、控除期間が終了している場合や住宅ローンより金利の高い借り入れがない方です。

控除期間中は、繰り上げ返済すると税金の控除額が減額になる可能性がありますが、控除期間が終了している方は、完済までに支払う利息を減額できます。

また、住宅ローンより金利の高い「自動車ローン」「教育ローン」「カードローン」などの借り入れがないなら、住宅ローンの繰り上げ返済がおすすめです。

反対に奨学金などは住宅ローンよりも金利が低いため、住宅ローンの繰り上げ返済を優先するようにしましょう。

住宅ローンを繰り上げ返済せずに投資すべき?

過去最低水準を推移している住宅ローンの金利。

2023年10月現在、変動金利型で年0.345〜0.475%前後、固定金利(10年)で年0.94〜1.07%、固定金利(31~35年)で年1.70〜1.83%(参考:三菱UFJ銀行公式サイト)。

借入金利以上の利回りで安定的に運用できる商品があるのかといえば、預貯金では厳しいのが現実です。

そのため、リスクを取りたくないという人にとっては、まとまった資金を預貯金として確保しておくよりも、有効な運用方法といえます。

その一方で、多少のリスクがあっても運用したいという方には、住宅ローンの金利を上回る利回りでの運用を目指し、投資を選択するのも手段の1つといえるでしょう。

どの程度のリスクをとるべきかは、それぞれの家計の状況や価値観等により異なるため、多少なりともリスクを取れるなら「投資」を選択するのもアリです。

ただし、短期的な投資で大きく儲けようと考えるのは現実的ではありません。

あくまでも、20〜30年という長いスパンで積み立て投資ができるなら、それなりの利回りが期待できるだろうということになります。

住宅ローンを繰り上げ返済してはいけない大きな理由まとめ

繰り上げ返済をするには、手持ちの預貯金の状態や今後のライフプラン・控除額など、さまざまな角度から検討しなければなりません。

なぜなら、利息の総支払額を減らせる一方で、住宅ローン控除の控除額や団信の保険金額が減額になってしまうことがあるからです。

繰り上げ返済をおこないたいと考えている場合は、ライフプランをしっかり立て、今後の必要資金や急な出費に対応できるように手持ち資金もしっかり準備しておきましょう。

目次