限界集落とは？原因や課題への取り組みと各地域のランキングも紹介

土地が安く売り出される可能性がある限界集落。

安い土地を探している中で、限界集落にたどり着くことがあります。

では、そもそも限界集落とはなんなのか？

どんな地域に多く、どんな原因があり、どんな課題を抱えているのかを解説します。

限界集落とはどのようなものか？

限界集落とは、人口減少が進んで限界的な状況に陥った集落のことを指します。

具体的には、日本においては、過疎化が進む山間部や離島地域などで多く見られます。

限界集落に住む人々は高齢化が進んでおり、若者の流出によって人口減少が進んでいるため、限界集落においては、生活や暮らしに必要なインフラやサービスが不足するといった課題があります。

また、限界集落における産業の衰退も進んでおり、地域経済の活性化が必要です。

限界集落の定義と特徴

限界集落は人口減少が進んだ状態の集落を指しますが、その特徴として、下記の4つについて解説します。

人口減少が進んでいる

限界集落に住む人々は高齢化が進んでおり、若者の流出によって人口減少が進んでいます。そのため、限界集落においては、生活や暮らしに必要なインフラやサービスが不足するといった課題があります。

産業の衰退が進んでいる

限界集落における産業の衰退も進んでおり、地域経済の活性化にも課題があります。農林業の振興や、観光資源の活用などが挙げられますが、限界集落においては、これらの取り組みが容易ではありません。

必要なサービス・インフラが不足している

限界集落においては、生活や暮らしに必要なサービス・インフラが不足していることが多いです。例えば、医療機関や商業施設が不足していたり、公共交通機関の利用が制限されているなどが挙げられます。

地理的・自然的な条件に制約がある

限界集落には、地理的・自然的な条件による制約があることが多いです。例えば、山間部に位置する集落においては、道路が不便であったり、季節によっては豪雪地帯となることがあるなどが挙げられます。

限界集落の分布状況

限界集落の分布状況は、主に山間部や離島地域に集中しています。

これは、地理的・自然的な条件による制約や、都市部への人口流出が進んでいることが主な原因として挙げられます。

具体的には、日本全国において限界集落が存在しており、国土交通省や総務省などが作成する統計データや調査結果により、限界集落の数や分布状況を把握することができます。

例えば、国土交通省が発表した「山村・島嶼地域の定義及び数」によると、日本全国には、山村・島嶼地域が4,296地域存在しています。

また、総務省が発表した「平成31年過疎地域等の現況に関する調査結果」によると、日本全国には、人口が1,000人未満の過疎地域が1,361地域存在しており、このうち限界集落がどの程度含まれているかは明確ではありませんが、多くの地域で限界集落が存在していると考えられます。

また、都道府県別で見ると、山形県や福島県などの東北地方、長野県や岐阜県などの中部地方、そして愛媛県や鹿児島県などの四国・九州地方において、限界集落の数が比較的多い傾向があります。

以上のように、限界集落は日本全国に存在しており、主に山間部や離島地域に集中しています。

地域の特性や条件によって、課題や問題点は異なってくるため、地域ごとに適切な取り組みが必要とされています。

限界集落の問題点

限界集落の問題として

の3点について解説します。

限界集落における生活や暮らしの課題

限界集落における生活や暮らしには、以下のような課題が存在しています。

高齢化・人口減少

限界集落は、都市部に比べて高齢化が進んでおり、若者の流出や少子化によって人口が減少しています。このため、地域の活性化や社会資本の維持・整備が困難になるという問題があります。

交通アクセスの不便性

山間部や離島地域に多く存在する限界集落は、交通アクセスが不便であることが多いため、医療や教育、生活必需品の調達などに困難を伴うことがあります。

住宅・建物の老朽化

限界集落には、戦後の高度経済成長期に建設された古い住宅や建物が多く、老朽化が進んでいることが多いため、建物の改修や補修が必要になることがあります。

食糧・農業の自給率の低下

限界集落は、農業が主産業であることが多く、昔ながらの自給自足の生活が続いている地域もあります。しかし、市場の変化や農家の高齢化・減少により、食糧・農業の自給率が低下しているという課題があります。

これらの課題に対応するためには、地域の特性や条件に合わせた取り組みが必要とされています。

自治体や地域住民、関連団体などが協力して、地域の活性化や社会資本の維持・整備、若者の定住促進、農業や観光などの産業振興などに取り組むことが求められています。

限界集落の経済や産業の課題

限界集落における経済や産業には、以下のような課題が存在しています。

産業の多角化の必要性

限界集落は、農業が主産業であることが多く、その地域に適した農産物や特産品を生産していることが多いです。

しかし、市場の変化や気候変動などにより、農業に頼るだけでは生計を立てることが困難になっています。そのため、地域に合った新たな産業を創出し、産業の多角化を進める必要があります。

雇用の確保

限界集落は人口減少による若者の流出が進んでおり、雇用を生み出すことが困難になっています。

そのため、新たな産業を創出することや、地域資源を活用した観光産業の振興などによって、雇用を確保することが必要です。

人材の確保

限界集落は、若者の流出が進んでいるため、人材の確保が課題となっています。

このため、地域の魅力を発信し、若者や新しい住民の定住を促すことが必要です。

また、地域で働く人材の育成や、地域の産業・文化・歴史などを学ぶ場を提供することも重要です。

地域資源の活用

限界集落には、地域固有の資源や文化が存在しています。

これらを活用することで、地域の魅力を高め、産業振興につなげることができます。

例えば、地域の特産品や歴史・文化遺産を生かした観光産業の振興や、地元食材を使った飲食店や加工品の販売などがあります。

これらの課題に対応するためには、地域の特性や条件に合わせた取り組みが必要とされています。

自治体や地域住民、関連団体などが協力して、新たな産業の創出や地域資源の活用、雇用の確保などに取り組むことが求められています。

限界集落の教育や医療の課題

限界集落における教育や医療には、以下のような課題が存在しています。

教育の格差や人材不足

限界集落では、人口減少により小中学校や幼稚園の閉鎖が進んでおり、教育の格差が生じています。

また、地域住民の高齢化により、若手の教員が不足することがあります。これにより、教育環境の充実が課題となっています。

医療の充実と医師不足

限界集落では、高齢化による病気やケガの増加などに対応できる医療施設が不足しています。

また、医師や看護師などの医療人材も不足していることがあります。

これにより、適切な医療サービスを受けられない住民が生じることがあります。

IT化の進展と情報格差

限界集落では、情報格差が生じています。特に高齢者層は、情報化社会についていくことが困難であるため、情報にアクセスできないことが多いです。

また、医療や教育などの分野でも、情報技術の進展に追いつけず、適切なサービスを提供することが難しい場合があります。

これらの課題に対応するためには、地域の特性や条件に合わせた取り組みが必要とされています。

自治体や地域住民、関連団体などが協力して、教育環境の充実や医療サービスの確保、情報格差の解消などに取り組むことが求められています。

また、情報技術を活用した遠隔医療やオンライン教育など、新しい形のサービスの導入も検討する必要があります。

限界集落の原因と取り組み

限界集落の原因は、人口減少や高齢化、都市への人口流出などが挙げられます。

これにより、集落の維持や発展が困難となり、生活や経済の課題が生じることがあります。

詳しい原因や今後の施策などを解説します。

限界集落の原因として考えられること

限界集落の原因として、以下のようなことが考えられます。

人口減少や高齢化

限界集落は、人口が少なく高齢化が進んでいることが多く、若者の流出や出生率の低下により人口が減少しています。

これにより、地域の活力や経済が低下し、生活や産業に課題が生じることがあります。

都市への人口流出

都市部への人口流出が進んでいるため、限界集落では人材や労働力が不足し、産業の停滞や発展の遅れが生じます。

また、地域の魅力や将来性が低下することもあります。

地理的な条件

山間部や離島など、地理的な条件が厳しい場所に限界集落が存在することがあります。

これにより、物流や交通インフラが不足し、経済活動の拡大が困難となることがあります。

天災などの自然災害

限界集落は、自然災害に弱い傾向があります。

特に、豪雪地帯や山間部では、雪崩や土砂崩れなどの災害が発生しやすく、生活に支障をきたすことがあります。

以上のように、限界集落の原因は様々な要因が絡み合っています。

これらの原因に対して、地域住民や自治体、関連団体などが協力して取り組みを進めることが求められます。

限界集落に取り組むための施策や取り組み

限界集落に取り組むための施策や取り組みには、以下のようなものがあります。

地域おこし協力隊の派遣

地域おこし協力隊とは、都市部の若者が限界集落などに派遣され、地域の活性化に取り組む制度です。

若者の力やアイデアを活かし、地域の産業振興や観光の開発、地域住民の支援などに取り組むことができます。

人口定住支援策の実施

人口定住支援策として、住宅の補助や移住者向けの就職支援、子育て支援、医療・福祉の充実などがあります。

これらの施策を実施することで、限界集落における人口減少や高齢化の問題を解決し、人口の定住を促進することができます。

テレワーク環境の整備

テレワークとは、インターネットを利用して自宅や地方にいながら仕事をすることができる働き方です。

テレワーク環境を整備することで、都市部にいる企業や個人が限界集落に移住することが可能になり、人口定住の促進につながります。

地域の特性を生かした産業の振興

限界集落は、地域によって特色ある産業が存在します。

例えば、農業や漁業、森林資源などです。これらの特色ある産業を活かし、地域の活性化を図ることができます。

地域の魅力をアピールする観光の振興

限界集落には、都市部では味わえない自然や景色、歴史的な建造物や伝統的な文化など、魅力的な観光資源があります。

これらの魅力をアピールし、観光客を呼び込むことで、地域の活性化につなげることができます。

以上のように、限界集落に取り組むための施策や取り組みは様々なものがあります。

限界集落の数やランキング

総務省のデータより、65歳以上が50％以上を占める集落を対象にしたランキングが下記となります。

地域	65歳以上の集落数
中国圏	5,072
九州圏	4,690
四国圏	2,990
東北圏	2,862
中部圏	1,300
近畿圏	1,116
北海道	999
北陸圏	751
首都圏	578
沖縄県	14

日本の限界集落（過疎地域）の数

総務省の調査によると、限界集落は2019年4月時点で2万372か所に上ったと発表しており、限界集落の定義として「65歳以上の高齢者が人口に占める割合が50％以上」としています。

2015年の調査では14,487か所だったものから、約1.5倍ほどに増えたという結果になりました。

限界集落の分布状況

限界集落は、日本全国に分布していますが、特に山間部や離島、過疎化が進んでいる地域に多く存在しています。

例えば、北海道や東北地方、中国地方、四国地方、九州地方などがその代表例です。

限界集落の消滅とその影響

限界集落は高齢者が多いという特性から消滅することが考えられています。

その消滅と影響について解説します。

限界集落の消滅とは何か？

限界集落の消滅とは、その集落に人が住まなくなり、廃村になることを指します。

限界集落は人口減少や高齢化などの問題により、生活基盤の維持が困難になり、最終的には住民が全員引っ越すか亡くなり、集落が消滅することがあります。

限界集落の消滅がもたらす影響と課題

限界集落の消滅は、その地域の文化や伝統が失われることにつながります。

限界集落は、長い年月をかけて形成された独自の文化や伝統がある場合があり、その消滅によってその地域の歴史や文化が失われることになります。

また、限界集落の消滅により、その地域の産業や経済にも影響が生じます。限界集落は、農業や林業、漁業などの従来型産業が主体となっており、限界集落の消滅によってその地域の産業基盤が弱体化することになります。

また、限界集落に住む人々は、その地域に根付いた知識や技術を持っている場合がありますが、その知識や技術が失われることによって、地域の産業や文化に深刻な影響が生じることがあります。

そのため、限界集落の消滅に対しては、地域活性化や再生の取り組みが必要とされています。

例えば、限界集落に移住する若者を増やすための支援や、新しい産業や観光資源の開発、地域の文化や伝統を活かしたイベントや取り組みの実施などが挙げられます。

限界集落における地域の取り組み事例

限界集落の施策として茨城県と東京都が行った取り組みについて解説します。

茨城県における限界集落に対する取り組み事例

茨城県では、限界集落の取り組みとして、以下のような取り組みが行われています。

移住支援事業の実施

茨城県は、限界集落に移住する若者を支援するために、移住支援事業を実施しています。

この事業では、限界集落に住宅を建設する際の補助金や、就職支援などが行われています。

地域おこし協力隊の派遣

茨城県は、地域おこし協力隊を派遣することにより、限界集落の活性化に取り組んでいます。

地域おこし協力隊は、限界集落でのイベントや活動の企画や実施、地域の魅力の発信などを行っています。

地域資源を活かした観光の推進

茨城県は、限界集落の地域資源を活かした観光の推進にも取り組んでいます。

具体的には、限界集落での農業体験や、山菜採り体験、地元の食材を使った料理の提供などが行われています。

プロジェクトＸの放送

NHKのテレビ番組「プロジェクトＸ」で、茨城県の限界集落の取り組みが放送されました。

この番組では、限界集落での移住者の受け入れや、地域の魅力の発信などが紹介され、注目を集めました。

以上のような取り組みにより、茨城県では限界集落の活性化が進められています。

東京都が行う限界集落支援について

東京都が行う限界集落支援には、以下のような取り組みがあります。

限界集落の調査・分析

東京都では、限界集落の実態を把握するため、定期的な調査を実施しています。その結果をもとに、限界集落の現状や問題点を分析し、具体的な施策を策定しています。

限界集落の活性化支援

東京都では、限界集落の活性化支援として、以下のような取り組みを実施しています。

・限界集落の観光資源化：限界集落には、自然や歴史、文化などの観光資源があります。東京都では、それらの資源を活かすため、限界集落の観光資源化に取り組んでいます。

・限界集落の農業・畜産支援：限界集落には、豊かな自然環境や伝統的な技術を活かした農業や畜産があります。東京都では、それらを活かすため、限界集落の農業・畜産支援に取り組んでいます。

限界集落の施設整備

東京都では、限界集落における基本的な生活インフラや、医療・福祉施設の整備を行っています。また、交通網の整備や、情報通信環境の整備なども進めています。

限界集落の住民支援：東京都では、限界集落の住民を支援するため、以下のような取り組みを実施しています。

・住民の交流支援：限界集落には、人口が少なく、孤立していると感じる住民が多くいます。東京都では、住民同士の交流を促すため、イベントや交流会の開催などを行っています。

・住民の就労支援：限界集落には、雇用の機会が限られているため、若者の就労意欲が低下しているという課題があります。東京都では、限界集落における就労支援の充実を目指しています。

以上のような取り組みが、東京都における限界集落支援の一例です。

限界集落の不動産への活用

限界集落において不動産を活用する方法としては、一戸建ての別荘や農地・畑の購入、観光施設の建設、宿泊施設の運営、地産地消や在宅医療などのビジネスを展開することが挙げられます。

また、限界集落の地域住民と協力して、地域資源を活用した商品開発や地域の特産品の販路拡大を図ることも可能です。

限界集落まとめ

限界集落とは、人口減少や高齢化などの影響により、限られた人口で成り立つ地域のことであり、生活、経済、教育、医療、交通、情報などの課題があるとされています。

問題点には、高齢化による人口減少、労働力不足、施設やサービスの不足、情報格差、地域活性化の困難さなどがあります。

しかし、限界集落には豊かな自然環境や文化的な遺産があり、観光や農業、地産地消、在宅医療などを活用した地域振興が期待されています。