住宅ローン中の家を売る際の注意点!売却方法や税金についても解説!

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突然の転勤や離婚など、ライフスタイルの変化により住宅ローン返済中のマイホームの売却を検討している場合、下記のような不安や疑問を抱えている方が多いのではないでしょうか。

● 住宅ローンが残っていても売却できるの?
● 住宅ローン返済中の家を売却する方法は?
● 税金はどうなるの?

そこで今回の記事では、住宅ローン返済中のマイホームを売る際の注意点や売却方法、税金についても詳しく解説していきます。

目次

住宅ローン中の家を売るのは可能?

結論からいうと、住宅ローンの返済中でも一定の条件をクリアすれば売却可能です。

また、不動産の価値は経年につれて下がるのが一般的なため、売却を検討しているなら、高い価格で売却できる可能性があるローンの完済前がおすすめです。

ただし、住宅ローンが残っている家を売却するためには、抵当権の抹消が必須条件となります。

売却金もしくは手出しで返済すれば抵当権を抹消できる

マイホームを購入する際に住宅ローンを利用した家には、金融機関から「抵当権(「担保」と同じ)」が付けられています。

住宅ローンを返済中のマイホームを売却するには、住宅ローンを完済し金融機関が設定した抵当権を抹消しなければなりません。

そのため、売却を決めたらローンの残債をチェックし、自己資金や家を売却したお金でローンを完済できるのか、確認することが重要です。

住宅ローンを利用した方がローンを返済できなくなった場合、金融機関は担保となる不動産を競売などにかけ、貸したお金を回収します。

抵当権をそのままの状態にしておくと、万が一売主がローンを滞納した場合、その家が差し押さえられてしまいます。

次の持ち主となる買主は、家を失ってしまう可能性があるので、このような抵当権が付いた状態では家を買う人は現れません、

その結果、家を売却するとき、買い替えるときのどちらも、まず住宅ローンを完済し、抵当権を無くす「抵当権抹消」の手続きを行う必要があるのです。

抵当権の抹消とは
登記簿謄本に記載された抵当権の内容を削除することです。
抵当権を抹消するためには、住宅ローンを完済していることが条件になります。

ローンの完済には、「払い続けて自然に完済する」ケースと「売却代金や手出しで一括返済する」ケースの2種類があります。住宅ローンを完済すると抵当権という権利そのものは自動で消滅します。

ただし、抵当権の消滅と登記の抹消は別物なので、登記簿謄本から抵当権の記載を抹消するためには、抵当権抹消の手続きを行わなければなりません。

ローンが残っている家を売る時の税金

一般的に「不動産売却でかかる税金」には下記の表のような税金があります。

税金の種類 概要
印紙税 売買契約時に使用する収入印紙への税金
消費税 仲介手数料などにかかる税金
登録免許税 不動産登記の名義変更に櫃係る税金
譲渡所得税 売却益発生時に支払う税金
・所得税
・住民税
・復興特別税
固定資産税 土地や建物の所有にかかる税金
相続税 親から受け継いだ財産にかかる税金

また、住宅は購入時よりも価格が下がることが多いため、一般的には売却損がでます。
売却損が出た場合は、確定申告を行うことで税金を取り戻せる特例があります。

アパートや投資用ワンルームマンションなどの賃貸物件は、マイホームでないことから居住用財産とはなりません。

譲渡所得税に注意

土地や建物などの不動産を売却することを法律上「譲渡」といい、不動産の取得時の価格と売却時の価格の差から得られる利益を「譲渡益」といいます。

例えば、5000万円で取得した不動産を7000万円で売却すると、2000万円の譲渡益がでます。

一般のエンドユーザーがマイホームを売却することは、事業や商売で行っているわけではありませんが、譲渡益が出た場合は確定申告をし、税金を納めなければならないルールになっています。

マイホームを売却し譲渡益が出た場合に、その儲けに対してかかる税金が所得税と住民税です。

売却したマイホームの所有期間が、譲渡した年の1月1日時点で5年超の場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となります。

それぞれの税率は下記の表の通りに定められています。

所得税 住民税 合計
長期譲渡所得 15% 5% 20%
短期譲渡所得 30% 9% 39%

所得税の課税時には、所得税の2.1%に相当する復興特別所得税を加えなければなりません。

復興特別所得税とは東日本大震災の復興に必要な財源を確保するための税金のことで、平成25年から令和19年までの間は通常の所得税に上乗せで徴収されます。

そのため、実際の税率は以下の通りになります。

長期譲渡所得:15%+15%×2.1%+5%=20.315%
短期譲渡所得:30%+30%×2.1%+9%=39.63%

譲渡所得税は、長期譲渡所得になるか短期譲渡所得になるかで、倍以上の差が出てしまいます。

所有期間が5年に近い物件を売却する場合は注意しておきたいですね。

ローン返済中の家を売る手順

住宅ローン返済中のマイホームを売却するためには、家に付いている抵当権を抹消し、住宅ローンを完済しなければなりません。

そのため、ローンの残債と売却額を調べることから始める必要があります。

返済中の住宅ローンを完済するためにやるべきことは、下記の4つです。

ローンの残債を確認

マイホームの売却を決めたら、住宅ローンを完済するための返済計画を立てなければなりません。まずは、下記の方法でローンの正確な残債を把握しましょう。

  • インターネットバンキングで照会する
  • 金融機関から毎年送付される残高証明書を見る
  • 住宅ローン契約時の返済予定表を確認する

残高証明書とは、住宅ローンの残債がいくらか証明してくれる書類です。毎年10月頃に金融機関から郵送されます。

また、返済予定表とは、住宅ローンを借りたときに契約した金融機関から送付されてくる書類です。
ローンの残債だけでなく、毎月の返済予定額や元金と利息の内訳なども記載されています。

上記の方法が難しい場合は、金融機関に直接問い合わせるしかありません。
ただ、金融機関に問い合わせると時間がかかってしまうため、売却スケジュールに余裕をもって行動するようにしましょう。

不動産の売却価格を査定

売却価格を把握していなければ、適切な価格でローン返済中の家や土地を売却できません。
そのため、ローンの残債をチェックしたら、売却価格の査定を行います。

マイホームの売却価格は不動産会社の査定を受ければわかるため、不動産一括査定サイトの利用がおすすめです。
どのサイトを選べば良いのか分からない場合は、おすすめの不動産一括査定の記事を参考にしてみてください。

不動産会社の査定では、「3か月程度で売却できる」と思われる予想価格が提示されます。しかし、査定価格はあくまでも予想価格なので、売却が保証される価格と勘違いしないように注意してください。

アンダーローンかオーバーローンのチェックをする場合、不動産会社1社のみの査定価格で決めてしまうことにはリスクがあります。

複数の不動産会社の査定額よりローン残債が低ければ、アンダーローンといってよいでしょう。複数の不動産会社に査定を依頼することが、スムーズに売却する際のポイントです。

決済時に住宅ローンを完済

家を売るときにやるべきことは、住宅ローンを完済できるか判断するためのシミュレーションを行なうことです。

住宅ローンを完済できるかを判断するためには、ローンが「アンダーローン」なのか、「オーバーローン」のどちらかであるかをチェックすることが重要です。

  • アンダーローン:ローン残債が売却額を下回り、売却益が出せる状態
  • オーバーローン:ローン残債が売却額を上回ってしまう状態

アンダーローンかオーバーローンのどちらかをチェックするには、「住宅ローン残債-家の査定額(予想価格)」で簡単に算出できます。

※そのほか、売却のための費用(仲介手数料や引っ越し代など)が必要になります。

正式に売買契約し、残金授受の日程がおおむね決まったら、売主は住宅ローンを契約している金融機関に連絡し、一括繰り上げ返済(ローンの残債を一度にすべて返済すること)と抵当権抹消書類の準備を依頼します。

売主は、住宅ローンを借りている金融機関の窓口で、一括繰り上げ返済の申し込みをしてください。ただし、金融機関によって申し込み方法は異なる場合があります。

一括繰り上げ返済の申し込み後に、抵当権抹消書類の準備が完了しますが、決済までに1か月程度時間が必要です。

下記では、住宅ローン完済の流れを解説します。

  1. 買主から購入代金の全額もしくは指定する金額を売主の住宅ローンを支払っている口座に入金してもらう
  2. 売主が住宅ローンを借りている金融機関の口座に入金したことを伝え、着金確認を依頼する
  3. 連絡を受けた金融機関が残っている住宅ローンの金額を口座から引き落とす
  4. 売主が住宅ローンを組んでいた金融機関へ抵当権抹消の書類を取りに行く

本人でないと受け渡しができない場合は、売主と司法書士で金融機関へ書類を受け取りに行き、代理人でも大丈夫な場合は司法書士が単独で金融機関へ受け取りに行きます。

住宅ローンを完済と同時に抵当権抹消手続き

金融機関が設定した抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済しなければなりません。

抵当権の抹消手続きは住宅ローンの契約者本人もしくは司法書士に依頼して行わなければならないため、うっかり忘れてしまうというケースもあるようです。

ただし、ローンの完済後も抵当権を抹消しないでいると、後々下記のようなことで困ることがあります。

売りたいときに売却できないことがある

抵当権を抹消していなければ、登記簿謄本の乙区に表示され、物件の買い手候補が現れても、抵当権が表示されてしまうことで不安を感じてしまい、売却しにくくなってしまいます。

第三者に抵当権がないことを示すためにも、抵当権は速やかに抹消しましょう。

相続の際に手間がかかる

物件の所有者が亡くなった際に抵当権を抹消していなければ、新たな所有者が抵当権抹消の手続きをしなければならないため、書類の準備など必要以上に手間がかかってしまいます。

また、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議といった手続きを踏んで物件を相続するため、さらに時間や労力が必要です。

新たな融資を受けにくい

抵当権の抹消手続きを忘れてしまい、抵当権が残った状態のままだと、新たに抵当権を設定した金融機関の順位番号が第二順位以降となります。

金融機関は立場が不利になることから、第二順位以降の抵当権設定となる融資を避ける可能性が高く、新たな融資を受けにくくなります。

抹消に必要な書類を紛失したら書類の再発行が面倒

金融機関から送られてくる抹消書類(弁済証明書や委任状など)がなければ、抵当権の抹消手続きを行えません。抹消を先延ばしにしていると、抹消書類を紛失するリスクが高くなるため注意が必要です。

抹消書類を紛失した場合、書類の再発行に手数料や手間がかかってしまいます。そのため、ローンを完済したら速やかに手続きを進めるようにしましょう。

「抵当権を抹消する」方法には、

  • 司法書士に依頼する方法
  • 自分で手続きする方法

上記の2つがあります。

司法書士に抹消手続きを依頼すると、手続きをスムーズに済ませられるため便利です。司法書士は登記のプロなので、スピーディーかつスムーズに抹消手続きを完了できます。

ただし、登記手数料のほかに、司法書士への報酬も必要です。

その費用を抑えて抵当権を抹消したい場合は、自分で手続きをするのがおすすめです。費用は登記手数料しか必要ないため、最低限のコストで抵当権を抹消できます。

ただし、自分で書類を用意し法務局で手続きをしなければならないため、時間と手間がかかってしまいます。

時間や手間を重視して手続きを進めたい方は司法書士に依頼、手続きのコストを重視したい方は、自分で手続きをするようにしましょう。

下記では、司法書士に依頼する場合の手順を解説します。

『司法書士に依頼する場合』

  1. 金融機関から抹消書類を受け取り、抵当権抹消の手続きを依頼する
  2. 抵当権抹消登記委任状に署名・押印し、抹消書類とともに司法書士へ渡す
  3. 抹消登記完了後、抹消を確認可能な書類が司法書士から送付される

『司法書士に依頼する場合にかかる費用』

司法書士に抵当権抹消の手続きを依頼する場合、登録免許税(不動産の数×1,000円、土地1筆・建物1棟の場合は2,000円)と司法書士報酬が必要です。

抵当権抹消の手続の司法書士報酬の相場は、10,000〜20,000円が目安となります。

また、自分で手続き可能なのは、オーソドックスな事案のみです。

『自分で手続きする場合』

  1. 金融機関から抹消書類を受け取る
  2. 法務省の公式サイトで抵当権抹消申請書をダウンロードする
  3. 管轄の法務局で書類を提出
  4. 登記完了後に抹消を確認できる書類を受領する

『抵当権を抹消するために必要なもの』

  • 登記済証または登記識別情報
  • 印鑑
  • 抹消書類(委任状や弁済証明書を金融機関から入手する)
  • 登記事項証明書(法務局で入手)
  • 抵当権抹消登記申請書

自分で手続きをする際は、登録免許税のみ必要です。登録免許税は不動産の数×1,000円のため、土地1筆・建物1棟の場合は2,000円かかります。

家の売却を検討しているのなら、おすすめの不動産一括査定の中から不動産一括査定のおすすめを選んで、あなたの家がいくらで売却できるのかチェックしておきましょう。

売却しても住宅ローンが一括返済できない時の対処法

オーバーローンで売却し、住宅ローンが一括返済できない場合の対処方法は以下の2つです。
 

住み替えローンで一括返済

買い替えを行う際に、次の物件の住宅ローンに返済しきれなかったローン残債を上乗せした形で借りるローンが住み替えローンです。

住み替えローンを利用できれば、自己資金が足りないオーバーローンでも抵当権を外せます。

購入する物件の担保価値以上のローンを組むことになるため、購入物件の住宅ローンを返済できなくなった場合、融資を回収できないリスクが高くなります。

住み替えローンを検討する際は、信頼できる不動産会社に相談してみてください。

不動産会社の経験から、年収に対して利用可能なローンの金額や住み替え先の物件が妥当かどうかを事前にアドバイスしてもらえます。

任意売却で家を売却

自己資金もなく住み替えローンも利用できない方が住宅ローン支払い中の家を売却する方法が任意売却です。

任意売却にはメリットとデメリットがあるため、メリットだけでなくデメリットもしっかり把握しておきましょう。

任意売却のメリット

● 競売や自己破産と異なり、自分のプライバシーを守れる
● 競売よりも高く売却できる
● 月々の返済額を減らせる
● 費用を掛けず売却できる
● 売却条件に自分の意向を含められる

任意売却のデメリット

● ローンの連帯保証人に迷惑がかかる
● ブラックリストに掲載される可能性がある
● 売却期間に限りがあり、早く売却しないと競売になる
● 売却価格が相場よりも低い
● しばらく新規のローンが組めなくなる

住宅ローンを借りている金融機関の同意がなければ任意売却はできません。ただし,
金融機関が任意売却を認めた場合に限り、住宅ローンの返済中でもマイホームを売却できます。

住宅ローンが残ったままの賃貸は要注意

突然の海外赴任、親の介護、さらには離婚など、ライフステージの変化で自宅に住めなくなってしまうことがあります。その際、住宅ローンの返済や収入面を考えると、住めない期間は賃貸物件として誰かに貸したいと考える方もいるはずです。

残念ながら、基本的には住宅ローンを利用して購入した家をローンの返済中に賃貸に出すことはできません。

ここでは、住宅ローンが残ったまま賃貸に出したいと考えている方に向けて、注意点を解説します。

住宅ローンを借りた家の賃貸はNG

実は、住宅ローンを返済中の家は、原則として賃貸に出すことはできません。

住宅ローンが低金利で長期間の返済が認められているのは、需要が多いことと借主が住む家に対するローンに対する特典だからです。

このルールは、ローンを完済するまでずっと適用されます。住宅ローンの名義人本人が住む場合、本人が所有し家族が住むということが維持され、残債がゼロになるまでこの原則が崩れることはありません。

バレた場合は高利のプランに変更か一括返済

金融機関は定期的に住宅ローン利用者の居住状況をチェックしています。そのため、金融機関への相談をせずに賃貸に出している事実が発覚した場合は、契約違反として金融機関から指導を受けることになります。

指導に従わなかった場合は、契約違反としてローンの一括返済を求められたり、不動産投資ローンへの変更を余儀なくされる場合があるため、注意が必要です。

住宅ローンから不動産投資ローンに借り換えると、ほとんどのケースで金利がアップする上、審査が厳しくなり、住宅ローン控除の対象外になってしまいます。

また、借り換える際には、下記のような手数料や諸費用が発生します。

  • 繰り上げ返済手数料
  • 事務手数料
  • 抵当権設定費
  • 印紙税
  • 賃貸に出す際の広告費用や保険料など

すべての手数料や諸費用を合計すると30〜80万円程度になり、決して軽くはない負担となります。自宅に住み続けていれば発生しない費用なので、無断で賃貸に出した場合のリスクはかなり高くなるため、注意してください。

特例として賃貸を認めるケースもある

住宅ローンを返済中の家を賃貸に出すことは原則不可です。

ただし、ローンを契約した時点で想定できない「突然の転勤」、「一時的な海外赴任」、「親の介護で引っ越し」など、やむをえない事情が発生したケースに限り、住宅ローンの返済中でも賃貸に出せるケースがあります。

その方法は、下記の二つです。

● 金融機関に相談し、家を賃貸に出すことを認めてもらうケース
● 住宅ローンから不動産投資用のローンに借り換えるケース

ただし、下記のようなデメリットが生じます。

● 優遇金利などの条件が変更になることがある
● 住宅ローン控除が受けられなくなる
● 賃貸物件用のローンは金利が高い
● ローンの借り換えの際に、さまざまな費用が発生する

住宅ローン返済中に離婚になった

住宅ローンの返済中に離婚することになったら、ローンの支払いがどうなってしまうのか、気になるという方も多いのではないでしょうか。

住宅ローンの返済中に離婚する場合、家を売却するのか、どちらかが住み続けるのか、住宅ローンの支払いをどうするのかなど、契約内容によりクリアにしなければならない問題がいくつかあります。

下記では、離婚時の住宅ローンの取り扱い方や注意点を解説します。

売却して財産分与

自宅に十分な価値があり、アンダーローンにできる可能性があれば、売却してしまうのも財産分与する方法の一つです。

離婚前にマイホームを売却し、その代金により住宅ローンを相殺できれば、ローンの名義変更や連帯保証契約などで悩む必要がありません。

売却益を双方で分けるだけで財産分与できるため、手続きもシンプルです。

ただし、売却想定額が住宅ローンの残債を下回るオーバーローンの場合は、ローンを完済するために追加で資金の工面が必要になります。

オーバーローン状態でなおかつ、まとまった自己資金を調達できない場合は、金融機関に返済計画の見直しを相談してみてください。それでも解決しない場合は、任意売却の検討をおすすめします。

債権者が住み続ける場合

住宅ローンの名義人が単独でそのまま住み続ける場合は、住宅ローンの契約・返済を継続することが可能です。そのため、債権者以外に返済の義務が発生することはありません。

債権者じゃない方が住み続ける場合

債権者ではない方が住み続ける場合、債権者にとっては自分が住まない家の住宅ローンということもあり、支払いを継続してくれる保障がありません。

万が一、債権者がローンの支払いを滞納してしまったら、立ち退きを迫られる可能性があります。

また、住宅ローンの名義人と居住者が異なる状態になってしまうため、残債の一括返済を求められる可能性があります。

ただし、離婚後も返済を続けることを了承してもらえたら、一括返済にならずに済むこともあるようなので、事前に住宅ローンを契約している金融機関へ相談するようにしましょう。

債権者ではないほうが住み続ける場合の手続きには、以下の2通りの方法があります。

  • 賃貸契約を結ぶ
  • 別の銀行でローンを借り換える

元配偶者単独や子どもと一緒に住む場合は、債権者がそのまま返済を継続し、債権者以外の元配偶者と賃貸契約を結ぶことが賢明です。(無償で貸す契約方法もあるようです。)

住宅ローンや不動産の名義を変更する場合は、夫婦で合意した後、金融機関からの了承を得なければなりません。

金融機関は債務者を変更することや連帯債務を単独債務に変更することを容易に認めてくれないため、住宅ローンの借り換えの検討をおすすめします。

ただし、新たに住宅ローン審査が必要となるため、ローンを返済できるだけの安定的な収入があることが大前提です。

住宅ローンの借り換えの際には、下記の条件・手続きが必要になります。

  • 物件の所有権は住宅ローンの申込者(元配偶者)の単独名義であること(もしくは父母・母子との共有名義)
  • 住宅ローンの申込者が居住する不動産であること
  • 住宅ローン審査の際に離婚協議書のコピーを提出する

※年収や勤続年数によっては借り換えできない可能性や金融機関により条件が異なる場合があります。

また、債権者以外が家を取得する場合、家の名義をそのままにしておくと債権者の財産として扱われてしまうことがあります。だからといって、住宅ローンを完済するまでは、金融機関が名義変更を了承してくれることはほとんどありません。

そのため、債権者以外の元配偶者が家に住み続けたい場合は、住宅ローンの完済後は「家の所有名義を債権者から元配偶者に変更する」など、公正証書にして残しておくことをおすすめします。

ただし、登記請求権の時効の問題などがあるため、司法書士などの専門家に相談するようにしましょう。

住宅ローン返済中の家の売却に関するよくある質問

住宅ローン返済中のマイホームの売却でよくある疑問・質問をまとめました。
 

家を売ったお金はいつ手元に入る?

手付金などの形で、売却金額の一部を一時金として受け取りますが、残金をすべて受領できるのは、売主と買主がお互いに立ち会って物件の最終確認を済ませて引き渡す時です。

売買条件などについて話し合いが続いたり、最後の確認で契約書の内容と異なることが見つかると、それだけ余計に時間がかかることがあります。家の売却代金受領の時期については、あらかじめ余裕をみておくことが必要です。

離婚後の住宅ローンは誰が払う?

離婚後の住宅ローンの支払い義務がある債務者のケースは、以下の通りです。

  • 単独債務者の場合:住宅ローンの名義人
  • 連帯債務の場合:双方に支払い義務がある
  • 連帯保証の場合:債務者が払えないときは、連帯保証人に支払い義務が発生する
  • ペアローンの場合:住宅ローン返済中のマイホームに住み続ける場合は、単独債務に借り換える必要がある

離婚に際し、住宅ローンの返済が残っているケースでは、住宅ローンの返済義務は離婚前と変わらず、名義人にあります。

離婚しても住宅ローンの支払い義務は残り、支払いを免れることはないです。また、マイナスの財産は財産分与の対象外となるため、住宅ローンも離婚の財産分与の対象にはなりません。

そのため、夫もしくは妻が単独で住宅ローンを契約し、債務者として返済している場合は、金融機関と住宅ローンの契約を結んだ債務者に支払い義務があります。

連帯債務の場合は、夫婦のいずれかが主債務者、もう一方が連帯債務者となるため、両者に支払い義務が生じます。このケースも離婚したかどうかは支払い義務に影響がありません。

また、元夫婦のローンの名義人で、もう一方の配偶者が連帯保証人になっている場合は、債務者が支払えないときに連帯保証人に支払い義務が発生します。

そのため、住宅ローンを契約した金融機関と相談して保証人の地位を外しておかなければ、債務者の返済が滞り、請求が来てしまうことがあるので注意が必要です。

夫婦それぞれが別々の住宅ローンの契約者となるペアローンの場合は、夫婦それぞれが住宅ローン契約者となり、さらに配偶者が契約する住宅ローンの連帯保証人になるため、マイホームは共同名義です。

そのため、マイホームに引き続き住む夫もしくは妻が金融機関から承認を得た上で、配偶者の住宅ローンを一括返済することが必要になります。

金融機関に相談しペアローンを一本化してもらうか、単独債務に借り換える必要があります。

抵当権とはどういう意味ですか?

抵当権とは、住宅ローンなどを借りるときに購入する住宅の土地や建物に金融機関が設定する権利のことで、一般的に「担保を取る」というときの担保と同じです。

そのため、抵当権のついたローンのことを「有担保ローン」、抵当権のついていないローンのことを「無担保ローン」と区別します。

住宅ローン契約違反とは何ですか?

利用目的を自ら居住する住宅に限定し、長期にわたり低金利で融資している住宅ローン。しかし、住宅ローン市場が低金利であることに着目し、本来の趣旨とは異なる目的で不正に使用するケースが発生しています。

下記のようなケースは契約違反に該当します。

● 自ら居住するつもりがなく、投資目的で住宅を取得する
● 自動車購入費用など住宅取得費以外の費用を上乗せして申し込む
● 消費者ローンなどの返済費用を上乗せして申し込む

上記のように不正な目的で融資を受けることはローン契約違反となり、住宅金融支援機構では融資の残債務について一括請求を行えます。

(参考サイト:https://www.flat35.com/guide/caution/index.html)

住宅ローン返済中の家の売却まとめ

今回は、住宅ローン返済中の家の売却について解説しました。突然のライフスタイルの変化や転勤など、さまざまな事情によりマイホームに住み続けることが困難になることは珍しくありません。

ただ、家を売却することに慣れているオーナーは少なく、ほとんどの場合が初めてのケースです。

そのため、住宅ローンを返済中の家を売却する際の流れがわからず、慌ててしまうことが多々あります。

住宅ローン返済中の家の売却を検討している場合は、不動産一括査定サイトを利用し、信用できる不動産会社を見つけることが重要です。

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