土地を売却した時の税金をシミュレーション!相続や控除・確定申告についても解説

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土地を売却する際には様々な税金がかかり、手残り額に大きく影響を与えることになります。

しかし、土地の保有状況や現況によって利用できる税金控除も多いため、どの控除が利用可能なのかをあらかじめ知っておくべきでしょう。

そこで、この記事では土地を売却した場合の税金についてシミュレーションし、解説します。

税金控除についても詳しく解説するため、土地の売却を検討している人は是非参考にしてください。

目次

土地を売却した時にかかる税金

土地を売却した時にかかる税金は主に次の6種類になりますので、この章で詳しく解説します。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 相続税

印紙税

不動産売買契約書は課税文書となるため、印紙税が発生します。

印紙税は契約書に印紙を貼付し消印することで納税したとみなされ、売主は契約時に印紙代を不動産会社に支払うか、自分で印紙を用意する必要があります。

また、印紙税の課税額は土地の売買価格によって変わるため、事前に次の表を使って課税額を確認しましょう。

売買価格 印紙代
10万円を超え、50万円以下 200円
50万円を超え、100万円以下 500円
100万円を超え、500万円以下 1,000円
1,000万円を超え、5,000万円以下 10,000円
5,000万円を超え、1億円以下 30,000円
1億円を超え、5億円以下 60,000円
5億円を超え、10億円以下 160,000円
10億円を超え、50億円以下 320,000円
50億円を超える 480,000円

参照:国税庁|No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

登録免許税

登録免許税とは、所有権を買主に移転する際にかかる税金のことです。

計算方法は不動産の売買価格に2%を掛け合わせた額となりますが、令和5年3月31日までの移転であれば1.5%となります。

たとえば売却した土地の評価額が3,000万円だった場合、45万円が登録免許税となります。

なお、登録免許税は一般的に登記を依頼する司法書士経由で支払うことになり、法務局に直接支払う必要はありません。

そのため、売却代金から登記費用を支払うのが一般的です。

譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)

土地を売却することで利益を得た場合、その利益を課税額とした譲渡所得税がかかります。

譲渡所得税は「課税額」と「税率」によって算出することができ、それぞれ次のように定められています。

【課税額】

  • 土地売却代金-土地売却時の諸費用-土地購入代金-土地購入時の諸費用
【税率】

  • 所有年数が5年以下の場合:39.63%
  • 所有年数が5年を超える場合:20.315%

たとえば3,000万の土地を5,000万円で売却した場合、購入時と売却時の諸費用が共に300万円だとすると、譲渡所得課税額と譲渡所得税は所有年数によって次のように変わります。

所有年数 税率 譲渡所得税
5年以内 39.63% 約555万円
5年超 20.315% 約285万円

このように、所有年数に応じて譲渡所得税が大きく変わるため、売却するタイミングは十分に検討しましょう。

ただし、購入時の代金を証明する売場契約書がない場合、売却価格の5%が購入時の代金(取得費)として扱うというルールがあります。

この場合、上記の例では5年以内だと約1,645万円、5年超の場合でも約844万円が譲渡所得税となってしまいます。

そのため、契約書や領収書の有無については事前に必ずチェックしましょう。

なお、売却する土地に昔家屋があり、そこに居住していた場合は課税額から3,000万円控除できる税制優遇があります。

この制度については、後述する「土地売却で受けられる税金控除」にて詳しく解説します。

消費税

土地の売却には消費税はかかりませんが、測量費や解体費、仲介手数料には消費税が含まれています。

そのため、売買契約締結から不動産決済まで期間がある場合、法改正によって消費税が変更される可能性を考慮する必要があります。

固定資産税

固定資産税は所有している限り支払い義務が発生しますが、売却した場合であっても所有していた期間内は支払う必要があります。

たとえば固定資産税の起算日が4月1日で5月1日に所有権移転した場合、4月1日~4月30日までの税負担は売主となります。

ただし、3月1日に移転した場合は3月1日~3月31日までが売主負担となりますが、この場合は翌年度の固定資産税が売主側に郵送されてしまいます。

なぜなら、固定資産税の所有者は1月1日時点で固定資産税台帳に記載されている人になるからです。

そこで、この場合は納付書が届いたら買主に渡し支払ってもらうか、決済時に通年の固定資産税を支払ってもらい、その費用を使って売主が納付するのが、一般的な対処方法です。

そのため、どのような支払いになるかはあらかじめ、不動産会社に確認しましょう。

なお、市街化区域の土地であれば固定資産税と合わせて都市計画税も精算することになり、固定資産税は評価額×1.4%、都市計画税は評価額×0.3%で計算することができます。

相続税

土地を相続によって取得した場合は相続税がかかる可能性がありますが、相続税には基礎控除があり、3,000万円+(600万円×法定相続人の数)で算出することができます。

たとえば父、母、息子2人という家族構成で父親がなくなった場合、4,800万円が基礎控除です。

そして、このケースでは母が1/2、息子2人がそれぞれ1/4が相続按分となり、相続按分に該当する相続課税額を国税庁の速算表でチェックすることで計算することができます。

仮に1億円の土地を母親が相続する場合、相続課税額は(1億円-4,800万円)×1/2=2,600万円です。

これに対し以下の速算表に基づいて計算した場合、約383円が相続税となります。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% 0万円
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

この相続税ですが、取得後3年以内に売却した場合は相続税を取得税に加算できる特例があります。

そのため、前述した譲渡所得税の軽減に利用できる可能性があるため、相続税が発生した場合にはなるべく早く売却しましょう。

土地を売却した時の税金を計算シミュレーション

この章では土地を売却した時の税金について、売却価格に応じたシミュレーションをしながら解説します。

土地の売却価格によって、どのくらい税金が変わるのかをイメージしましょう。

尚、シミュレーションで算出する土地は次の条件とします。

  • 購入価格:2,000万円
  • 購入時の現況:更地
  • 所有期間:6年
  • 評価額:購入価格×0.7
  • 売却時期:令和5年1月1日
  • 取得を証明する書類:あり

100万円の土地を売却した時の税金

土地代金が100万円の土地を売却した場合、支払う税金は次のようになります。

税金種類 計算式 税額
印紙税 500円 500円
登録免許税 70万円×1.5% 10,500円
消費税(仲介手数料) 100万円×5%×10% 5,000円
譲渡所得税 (100万円-2,000万円)×20.315% 0円
税金合計 16,000円

仲介手数料の計算式は次のようになり、100万円の仲介手数料は100万円×5%+消費税の55,000円となります。

ただし、遠方の土地など調査費がかかる場合には、不動産会社は税込み18万円まで請求する権利がありますが、その場合は売主の事前合意が必要です。

そのため、身に覚えのない請求を受けた場合は不動産会社に説明を要求し、納得いかなければ既定の報酬以上に支払う義務はないことを知っておきましょう。

  • 200万円以下の場合:売買代金×5%×消費税
  • 200万円を超え400万円以下の場合:(売買代金×4%+2万円)×消費税
  • 400万円を超える場合:(売買代金×3%+6万円)×消費税

なお、購入時の価格は2,000万円となるため売却益がでていないことになり、譲渡所得税は0円(免税)となります。

1000万円の土地を売却した時の税金

土地代金が1000万円の土地を売却した場合、支払う税金は次のようになります。

税金種類 計算式 税額
印紙税 10,000円 10,000円
登録免許税 700万円×1.5% 105,000円
消費税(仲介手数料) (1,000万円×3%+6万円)×10% 36,000円
譲渡所得税 (1,000万円-2,000万円)×20.315% 0円
税金合計 151,000円

土地価格が1,000万円になると仲介手数料は400万円以上の計算式が該当し、1,000万円×3%+6万円+消費税の396,000円となります。

また、この価格帯であっても購入価格より売却価格が下回っているため、譲渡所得税はかかりません。

3000万円の土地を売却した時の税金

土地代金が3000万円の土地を売却した場合、支払う税金は次のようになります。

税金種類 計算式 税額
印紙税 10,000円 10,000円
登録免許税 2,100万円×1.5% 315,000円
消費税(仲介手数料) (3,000万円×3%+6万円)×10% 96,000円
譲渡所得税 (3,000万円-2,000万円)×20.315% 2,031,500円
税金合計 2,452,500円

購入時の土地価格が2,000万円のため、3,000万円で売却することで1,000万円の売却益を得たことになります。

これにより譲渡所得税が発生し、5年以上の所有期間ということから20.315%の税率が課税額に掛けられることになります。

8000万円の土地を売却した時の税金

土地代金が8000万円の土地を売却した場合、支払う税金は次のようになります。

税金種類 計算式 税額
印紙税 30,000円 30,000円
登録免許税 5,600万円×1.5% 840,000円
消費税(仲介手数料) (8,000万円×3%+6万円)×10% 246,000円
譲渡所得税 (8,000万円-2,000万円)×20.315% 12,189,000円
税金合計 13,305,000円

印紙税は5,000万円を超え1億円以下の場合、30,000円となるため注意が必要です。

また、譲渡所得税も高額になることから利用できる税金控除がないか、不動産会社に確認しましょう。

土地売却でかかる税金はいつ支払う?

土地売却には様々な種類の税金が発生しますが、どのタイミングで支払うのでしょうか。

慌てて支払うことにならないためにも、この章で解説する「税金の支払い時期」は事前にチェックしましょう。

印紙税は売買契約時

印紙税は売場契約のタイミングで支払うことになりますが、印紙を契約書に貼付し消印することで納税となります。

そのため、印紙を誰が用意するのかを事前に確認しましょう。

売主が用意するのであればそのまま持参し、不動産会社が用意するのであれば印紙代を持参することになります。

印紙を貼付しなくとも契約自体は締結できますが、後から追徴課税として3倍の印紙税が課税されるため、注意が必要です。

登録免許税は決済時

登録免許税は所有権移転に関わる税金のため、不動産決済時に司法書士へ支払います。

司法書士は登録免許税を現金で受け取るとそのまま法務局に行き、登記申請と共に印紙に変えて納税します。

このように、現金支払い→法務局で印紙に交換→印紙で納税という流れになることを知っておきましょう。

譲渡所得税は翌年の確定申告後

土地を売却した翌年には確定申告をする必要があり、そのタイミングで譲渡所得税額が判明します。

支払いについてはオンライン振込や納付書を使ったコンビニ支払いが可能なため、都合の良い支払い方法を選択しましょう。

また、売却益が出ていない場合であっても確定申告することで税務署から余計な詮索をされることがなくなるため、確定申告することがおすすめです。

固定資産税は各市町村によって変わる

固定資産税の場合、各市町村によって支払い方法が若干異なりますが、一般的には一年分の固定資産税を4期に分けて支払います。

ただし、4期分の納付書が5月頃にまとめて発送されるため、一度にコンビニなどで支払うケースも多いようです。

相続税は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内

相続税の場合は相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に準確定申告をし、納税する必要があります。

この時点で遺産分割が終わっていない場合、法定相続人の誰かが代表して納税することになります。

そのため、なるべく早く土地の所有者を決定し、あとから修正申告がないようにしましょう。

土地売却で受けられる税金控除

土地売却をする際には多くの税金を支払うことになりますが、その中でも税負担が大きいのが「譲渡所得税」です。

最大で4割近くの税負担となる譲渡所得税ですが、負担が大きいあまりに売却することを躊躇してしまう売主が多くなる可能性があります。

そこで、不動産の売買を円滑にするため、国土交通省と国税庁から譲渡所得税を抑える税金控除が公開されています。

また、それ以外にも住宅ローンの残債よりも売却価格の方が低くなる「オーバーローン状態」で売却した場合の税制優遇など、様々な税金控除があります。

  • 居住用財産3000万円控除
  • 特定の居住用財産の買換え特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  • 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
  • その他の事業用の特別控除

そこで、この章では上記のような代表的な税金控除について解説しますので、積極的に利用しましょう。

居住用財産3000万円控除

居住用財産とは、「売主の住民票があり、実際に住んでいた家」のことです。

居住用財産(マイホーム)3000万円控除では実際に住んでいる家を売却する際には、譲渡所得課税額から3,000万円を控除することができます。

また、既に移住している場合は移住してから3年以内、解体している場合は解体してから1年以内に売却することで、この控除を利用することが可能です。

そのため、土地として売却する場合は最大で3年以内の売却が必須条件ということになります。

これ以外にも、親族間売買でないことや売買代金が1億円以下、売主の所得が2,000万円以下といった条件があるため、実際に利用できるかどうかを売却スタート前に確認しましょう。

特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例は、土地を売却した際にかかる税金を、買換えた新居の売却に加算することで買換え時の譲渡所得税を免税とする制度です。

つまり、厳密にいえば税制控除ではなく、未来へ課税を繰り延べした状態といえるでしょう。

そのため、相続時に換価分割のために売却した場合、多額の譲渡所得税を相続人が支払うことになるため、利用には注意が必要です。

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

土地を売却したものの損失となってしまった場合、損失額を所得税から3年間繰り延べして差し引くことができます。

これは「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」という制度で、売却時点で10年以上の住宅ローンが残っており、さらに所有期間が5年を超える場合に適用できます。

年収が多い人ほど高い節税効果が見込まれる制度ですが、利用するためには確定申告の方法や用意する準備物など、売主が知っておくべきことは多いです。

そのため、この制度を利用する際には不動産会社や税務署に早い段階で相談し、認識の違いがない状態にしておきましょう。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は買換えをしない場合に利用する制度です。

仮にマイホームに買い替える場合は「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」という制度に変わります。

利用条件についてはほとんど同じですが、買換えしたマイホームの住宅ローンが10年以上返済期間があるという条件が違う点になりますので、混同しないよう気をつけましょう。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例は被相続人がいわゆる「独居状態」で死亡し、相続人がその家に全く住んでいない場合に使える制度です。

譲渡所得課税額から3,000万円の税金控除を受けることができます。

相続開始から3年以内、もしくは解体してから1年以内に売買契約を締結するという点においては、居住用財産3000万円控除とほとんど同じです。

ただし、「独居状態」と「生活を共にしていない」ということの証明が非常に難しく、利用の難易度が高い制度だといえます。

しかし、利用できた場合には大きな税金控除となるため、税理士や不動産会社に相談しながら進めましょう。

平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除

平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除は2008年に起きたリーマンショックによる景気対策として設置された制度です。

この期間に取得した土地を売却した場合は課税額から1,000万円を控除することができます。

ただし、この制度は土地収用法といった他の制度と併用することができないため、どの制度が最も得になるのかを見極めて利用しましょう。

その他の事業用の特別控除

上記以外の特別控除として、公共事業のための売却であれば5,000万円、土地区画整理事業によって国や地方公共団体に売却した場合は2,000万円が譲渡所得課税額から控除されることになります。

これらの制度は利用できるチャンスはほとんどありませんが、他の制度に比べて利用条件がかなり緩いです。

そのため、国や地方公共団体が買主になるケースや公共事業による立ち退き売却である場合は、必ずこれらの制度をチェックしましょう。

土地売却の税金に関するよくある質問

この章では土地売却の税金に関するよくある質問について、解説します。

土地を売却した場合は確定申告は必要?

土地を売却した場合、税務署から「不動産売却のお伺い」という手紙が届きます。

その手紙には「売却益の有無」という記載があり、無しに〇をして返送することで確定申告せずにすむこともあります。

ただし、この場合は税務署から確認の連絡や訪問を受けることもあるため、おすすめしません。

そのため、土地を売却した場合は確定申告をしましょう。

土地を売却して売却益が出たのに確定申告しないとどうなる?

売却益が出たのに確定申告をしない場合、税務署から追及され追徴課税されることになります。

その場合は通常の譲渡所得税も高くなってしまうため、売却益が出た場合は必ず確定申告しましょう。

土地を売却した時の税金は法人だと税率は変わる?

法人として土地を売却した場合、法人税と事業税、地方法人税が課税されます。

そのため、一般人としての売却よりも税金は高くなるでしょう。

ただし、土地売却によって損失が出た場合は10年間繰越することができます。

このことから、売却益によって法人が個人のどちらで契約するのかを使い分けましょう。

土地売却の税金まとめ

土地を売却した場合にかかる税金は、「いくらで買った土地をいくらで売るのか」という点が重要です。

つまり、売却価格が高くなると税金が高くなり、売却益が多くなるとその分課税されるでしょう。

しかし、居住用財産などの特定財産を売却する場合には、税金控除を受けることができます。

そこで、土地を売却する際にはなるべく早くに不動産会社へ相談し、最適な税金控除を受けられる売却プランを立てましょう。

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