不動産査定書とは？見る時に注意したいことや査定書の作り方を解説

「査定」には「調査によって金額を算出する」という意味がありますが、不動産においても同様です。

ただし、動産の査定とは違い、不動産査定は不動産会社が提示する「売れやすい金額」となっており、あくまでも売却価格を決めるのは、売主となります。

そのため、不動産会社から提出される査定書について正しく理解することで、適切な売却価格を設定することができます。

そこで、この記事では不動産査定書を見る際の注意点や作り方について、解説します。

不動産査定書とは？

不動産会社に査定を依頼し、査定額の提示を受ける際には、不動産査定書の特徴を知っておくべきです。

この章では不動産査定書の特徴について解説するので、参考にしてください。

不動産売却を高く売るために必要不可欠な資料

不動産査定書には査定額の根拠となった成約事例が記載されており、最高値の売却ラインを把握することができます。

この情報を知ることで、売主は売却価格を設定する際に売却できるギリギリの高値に設定することが、可能となります。

つまり、不動案査定書は不動産を高値売却する上で、必要不可欠な資料といえます。

不動産査定書は無料・有料で2種類に分かれる

一般的な不動産売却で依頼する査定は無料ですが、有料となる査定もあり、「不動産鑑定」と呼ばれます。

不動産鑑定は不動産鑑定士という資格を保持している者だけが実施でき、鑑定の依頼料は10万円～30万円が相場です。

なお、不動産鑑定は「生前贈与時の評価額」や「相続における評価額」、「離婚における財産分与額」などを決定する際に利用することが多く、これら以外のケースでは無料の不動産査定となります。

そのため、多くの売主は無料の査定で十分となるものの、上記のケースでは有料の鑑定が必要となることを、知っておくべきといえます。

不動産査定書は複数社の結果を比較すると良い

不動産査定書は不動産会社によって内容が異なり、査定額にもばらつきがあることから、複数の不動産会社に査定依頼することが、重要です。

なぜなら、多くの不動産査定書を確認することで相場の感覚を得ることができ、査定額の精査も可能だからです。

このことからも、不動産査定はなるべく多くの不動産会社に依頼するのが、ポイントとなります。

なお、査定の依頼は不動産一括査定がおすすめです。

このサービスは費用がかからず、一度の情報入力で提携している不動産会社に査定を同時に依頼することができます。

また、依頼する会社の選定や連絡方法、連絡時間を指定できることから、売主の都合に合わせて査定を進めることが可能です。

このような特徴が不動産一括査定サイトにはあるため、不動産売却を検討し始めたタイミングで利用する売主は多いです。

不動産査定書のおすすめ作成ツール

不動産査定書は独自の書式で作成されることもありますが、不動産会社用の査定書作成ツールを公開している会社もあります。

そこで、この章では不動産査定書の作成ツールを紹介します。

SREホールディングス『SRE AI査定クラウド』

SRE AI Partners株式会社が公開しているSRE AI査定クラウドは、AIによって査定書を自動的に作成できるツールです。

通常、不動産の査定書は類似物件と成約事例の抽出に時間を要することになり、2～3時間かかることもあります。

しかし、SREがサービス提供しているAI査定クラウドは10分で査定書を作成することができ、顧客への査定書提示をスピーディーに行うことができます。

このことからも、作業工数を短縮し顧客への提示スピードを向上させた不動産会社に、おすすめのサービスとなっています。

不動産ビジネスセンター『査定・提案書自動作成ツール』

不動産ビジネスセンターがサービス提供している査定・提案書自動作成ツールには、情報量が多いという特徴があります。

50ページ近い査定書には査定額のベースとなる類似物件や成約事例だけでなく、用途地域や人口密度、ハザードマップなどの情報も盛り込むことができます。

また、無料でもサービスを利用することができ、査定書の作成時間も1分前後であることから、多くの査定案件を抱える不動産会社に向いているといえます。

株式会社東京カンテイ『不動産査定システム』

株式会社東京カンテイは、そもそも不動産に関する膨大なデータをストックしています。

つまり、不動産査定に使用するデータ量も多くなるため、査定額の根拠付けがしやすいといえます。

そのため、売主が納得するだけのデータを基に査定額を提示したい不動産会社には、東京カンテイの不動産査定システムがおすすめです。

不動産査定書を見る時に注意したいこと

不動産の売却を成功させるためには、不動産査定書の内容と同様に注意すべき点があります。

この章では不動産査定書を見る際に注意すべきポイントについて解説するため、参考にしてください。

査定価格の根拠が明確か

宅地建物取引業法の第34条では、「宅地建物取引業者は査定価格もしくは評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。」と定義されています。

つまり、不動産会社は売主に対して明確な根拠に基づいた査定価格を提示する必要があることになりますが、根拠の説明をしない不動産会社も多いです。

この場合、厳密には宅建業法違反となるため、売却の依頼はおすすめできない会社といえます。

このことからも、査定価格の根拠が明確になっていることが、注意点といえます。

査定書は見やすく分かりやすいか

不動産査定書には専門用語が多く、理解が難しい部分も多いです。

だからこそ、一般の売主が理解しやすいよう査定書に工夫がされていることが、重要となります。

なぜなら、売主が査定額に不安を抱えた状態では売却をスムーズに進めることができないため、見やすく分かりやすい不動産査定書を提示する会社は売主ファーストのサービスだといえるからです。

そのため、不動産査定書の内容で不動産会社の選別が可能となることを、知っておくべきです。

担当者に対応力・知識量があるか

不動産査定に対応した担当者が、そのまま売却を担当することもあります。

そのため、担当者の対応力や知識、説明の分かりやすさ、人柄のチェックは、非常に重要なポイントといえます。

また、一般的に不動産査定はある程度の勤続年数がある営業担当か、店長クラスが対応します。

つまり、担当者の印象はそのまま不動産会社の印象となるため、査定額だけでなく担当者の見極めも大きなポイントです。

不動産査定書の作り方

不動産査定書は不動産会社に依頼することで入手することができますが、売主として用意しておく書類や準備があります。

そのため、不動産査定書を入手する際にはこの章で解説する必要書類や手順をチェックし、スムーズに依頼できるよう準備しておくことが、ポイントです。

手順①：必要書類を準備する

不動産の査定を依頼する前には、以下の書類を準備する必要があります。

なお、必要書類が全て用意できなくとも、登記識別情報通知は準備しておくべきです。

なぜなら、登記識別情報通知によって所有者を確認することができ、査定依頼社と所有者が異なる場合にはトラブルになることもあるからです。

また、登記識別情報通知以外の書類も用意しておくことで、想定外のトラブルを避けることが可能となります。

手順②：複数の不動産会社に机上査定を依頼する

必要書類の準備ができれば、おすすめの不動産一括査定を利用して複数の不動産会社に「机上査定」を依頼します。

机上査定とは、査定を対応する担当者が現地に訪問することなく、成約事例や類似事例といったデータのみで査定する方法です。

この方法はスピーディーに査定額を提示できるという特徴があり、現地で担当者と面会することもありません。

このように、机上査定によって簡易的な査定書を複数社から入手することができ、不動産会社を選定する判断材料となります。

手順③：査定結果や対応が良い不動産会社に訪問査定を頼む

机上査定は簡易的な査定方法とはいっても、納得のいく査定額を提示することができる不動産会社もあります。

また、提示する際のメールや電話の対応でも不動産会社の良し悪しを判断できることができるため、総合的に納得のいく提案だった不動産会社を選ぶことができます。

そして、納得できる不動産会社の選定ができれば、実際に現地で面会する「訪問査定」を依頼することが、重要です。

訪問査定によってより精度の高い査定と、具体的な売却プランの提案を受けることができます。

つまり、訪問査定が不動産売却にとって最重要なステップといえます。

【無料で査定】不動産売却におすすめな一括査定サイト3選

不動産査定の依頼は不動産一括査定サイトの利用がおすすめですが、この章ではおすすめの不動産一括査定サイトの中から、「HOME4U」、「すまいValue」、「SRE不動産」について紹介します。

HOME4U｜電話相談が可能で初心者も利用しやすい

HOME4Uの評判としてはメールだけでなく、電話でも相談できるという強みがあります。

そのため、スマートフォンやパソコンが苦手な売主でも気軽に査定依頼することができますし、ご高齢の売主にもおすすめできるサイトといえるでしょう。

また、運営しているNTTデータスマートソーシングはNTTグループのため、大手ならではの安心感があるのも、大きな特徴です。

すまいValue｜業界屈指の大手6社が共同運営

すまいValueは「小田急不動産」「野村の仲介＋」「住友不動産販売」「三井のリハウス」「東急リバブル」「三菱地所の住まいリレー」の大手6社によって運営されています。

このことから、査定依頼を大手のみで依頼したい売主に向いている査定サイトといえ、全国に841店舗以上あることから、直接出向いて依頼することも可能となります。

すまいValueの評判はこのような特徴があることから、信頼できる不動産会社のみに査定依頼したい売主に人気です。

SRE不動産｜1都3県のマンション相場がAI査定でわかる

SRE不動産の大きな特徴として、売主の代理人となり販売活動は他社に依頼する「エージェント制度」を採用しているという点があります。

これにより、100%売主の立場で商談を進めることができ、価格交渉や購入条件の調整を公平な立場で実施してくれます。

また、HP上では1都3県のマンション相場を調べることができ、マンションの売却を検討する際には便利といえます。

不動産査定書に関するよくある質問

この章では、不動産査定書に関するよくある質問について、解説します。

個人再生の不動産査定書は机上査定でもいい？

個人再生とは、住宅ローンなどの返済が困難になった際に裁判所へ申し立てを行い、債権額を減額する方法です。

この方法を利用するためには2社以上の不動産会社から査定書を入手する必要がありますが、机上査定でも問題ありません。

ただし、精度の高い査定額の方が裁判所の許可を得やすいことから、なるべく訪問査定で査定書を作成してもらうことを、おすすめします。

簡易査定書とはなんですか？

簡易査定書とは、机上査定によって作成された査定書のことです。

そのため、不動産一括査定サイトで机上査定を依頼した場合には、簡易査定書が提示されることになります。

この査定書は、実際に売却された物件や現在公開中の物件をベースにした査定額が記載されていますが、不動産を現地確認せずに査定しているため、精度は低くなります。

このことからも、精度の高い不動産査定書を入手したいのであれば、訪問査定を依頼する必要があります。

まとめ

不動産査定書は査定を不動産会社に依頼することで入手することができますが、売却価格を決める上で、重要な書類となります。

また、査定書の内容は不動産会社によって異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめとなり、その際には不動産一括査定サイトの利用が、ポイントとなります。

そこで、不動産売却を決めた際にはまず不動産会社にコンタクトを取り、なるべく早く不動産査定書を入手すべきといえます。