ウッドショックはいつまで続く?原因や現在までの価格推移に今後の見通しまで徹底解説

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住宅購入を先送りにしている方の理由に挙げられるのが、2021年に発生した「ウッドショック」。

2024年の現在も続いていることから、マイホームの購入を検討している方にとっては、ウッドショックによりどんな影響があるのか、今後の見通しが気になるのではないでしょうか?

本記事では、ウッドショックの原因と価格の推移、今後の見通しについてまとめました。

目次

【2024年最新】現在までの木材の価格推移


画像提供元/林野庁

山や森林の多い日本の木材自給率は、1955年ごろまではほぼ100%でした。

徐々に減少し執筆時点では、40%前後で推移しています。

海外の木材に依存している日本では、新型コロナウィルス・ロシアによるウクライナ侵攻、さらには国内での木材の需要拡大により、慢性的な木材不足に陥り、価格も高騰しました。


画像提供元/農林水産省

木材の価格高騰はいつまで続くのかと不安になっている中、農林水産省が「すぎ中丸太」と「すぎ正角(乾燥材)」のグラフをもとに価格の動向を公表しました。

2023年以降も価格上昇が続くと予想されていましたが、素材価格は2023年度から、木材製品は2022年後半から下落傾向にあります。

この状況は、安全供給に向け、輸入材から国産材へシフトした日本政府の取り組みが功を奏していると考えられます。

林野庁によると、立ち木販売物件の前倒し販売、木材乾燥施設の整備など、具体的な対策が取られているようです。

ウッドショックによる木材高騰はいつまで続く?

新型コロナウィルスだけでなくロシアによるウクライナ侵攻による影響もあり、2022年にかけて高止まりを見せていた木材価格。

時期のズレはあるものの、素材価格と木材製品価格は下落傾向にあります。

2024年現在は木材価格は下落傾向

2024年現在、輸入材から国産材への転換し、安定供給に向けた日本政府の取り組みにより、木材価格は下落傾向にあります。


画像提供元/林野庁

ただし、依然として続くロシアのウクライナ侵攻により、輸入木材は大幅に減少しています。


画像提供元/林野庁

輸入木材が大幅に減少しているものの、カナダ製材・ロシア製材・EU製材・EU集成材ともに、2021年前半ごろの価格に戻りつつあります。

そもそもウッドショックとは?主な原因を解説

建築用木材の需要と供給のバランスが崩れたことによる木材価格の高騰をウッドショックと表現しています。

2021年から世界レベルで木材価格が急激に値上がりしたことから、「オイルショック」になぞらえ、名づけられました。

2021年当時、コロナ禍の影響で多くの製材所が休業に追い込まれ、木材の共有が滞類峰で、コロナ禍でソーシャルディスタンスが重視され、新築住宅需要が増加した結果、木材価格が急激に上昇しました。

下記で、主な原因を詳しく解説します。

  • コロナによるコンテナ生産量の低下・労働者の移動制限
  • アメリカ・中国での住宅ニーズ増
  • ウクライナ侵攻などその他の原因も影響

コロナによるコンテナ生産量の低下・労働者の移動制限

輸出の際に必要なコンテナ生産量が激減したことが、供給不足の最大の要因です。

2019年にコンテナ生産量が前年比の約40%に減少していたところ、コロナ禍により先行きを懸念する傾向が強まり、製造工場の稼働率が低下すると、さらにコンテナの製造量が減少し、不足する事態が発生。

また、2021年3月に発生したスエズ運河での大型コンテナ船座礁事故により、コンテナ輸送に遅れが生じたことも木材の調達不足につながりました。

そのうえ、ロックダウンや移動制限による荷積み作業員が減ったことからコンテナをスムーズに輸送できないという事態も発生。

さまざまな要因が重なったことで、木材の伐採から輸送までのラインが滞り、供給不足を招いてしまいました。

アメリカ・中国での住宅ニーズ増

世界的に建築用木材が供給不足になる一方で、アメリカや中国での木材の需要が増えています。

その要因といわれているのが、アメリカの超金利政策による住宅ブームや中国での住宅ニーズが増えたことです。

アメリカでは、コロナ禍によるおうち時間が増えたタイミングで住宅ローンの金利を下げる政策を実施。

これを機に自宅のリフォームする人や戸建て住宅の建築が活発化し、木材の需要がアップ。

ただし、もともと木材の流通量が下降気味だったことから、需要に対し供給が追い付かない状況に陥ってしまいました。

ウクライナ侵攻などその他の原因も影響

ウッドショックが長引いている要因の一つに、2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻があります。

ロシアは日本を含む非友好国への木材輸出を一部禁止しました。

日本がロシアから輸入する木材の割合はそう多くはないものの、世界的な木材不足に拍車をかけ、それにより木材価格の高騰が進んでいます。

そのほか、木材の大きな輸入元であるカナダでは、マツクイムシなどの虫害や2021年におこった山火事などにより原料が不足しています。

コロナ禍による林業や製材工場などの稼働率が減少したことも、供給不足の原因といえるでしょう。

日本政府のウッドショック対策

ウッドショックが起こり木材の需要と供給のバランスが崩れたことにより、国産材に注目が集まっています。

ウッドショックに対して、日本政府は以下のような対策を取りました。

  • 国産木材の安定供給に向けた取り組み
  • 国産木材の活用を促進

下記で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

国産木材の安定供給に向けた取り組み

林野庁では2021年4月以降、国産材製品への転換事例を周知するなど対応してきました、

なかでも、注目されているのが、2021年7月に提案された国産材の「エリーツリー」への置き換えです。

エリートツリーとは、人工造林地の中で最も成長が優れた木「精英樹」を人工交配し、その中から選抜されたもの。

エリートツリーの特徴は成長性が改良されていることから、初期成長が通常の2倍以上のスピード。

材質や通直性に優れ、伐期までの期間が短いのが魅力です。

また、1haあたりの育成コストも減らせると考えられているため、今後の活用に期待されています。

国産木材の活用を促進

2021年6月、国会で国産材利用を促すための改正公共建築物等木材利用促進法(議員立法)が成立しました。

この促進法が成立し、民間建築物が対象に追加されたことにより、国産材活用の動きに拍車がかかりました。

ウッドショックの最新の見通しは?落ち着いてきたとの見方も

2024年現在、新型コロナウイルスの共存が進み、ウッドショックも収束に向かうと予想されていました。

落ち着いたと思われていた木材の供給回復も、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻により再びリスクが生じています。

政府が対応していることもあり、木材価格が上昇し続けるとは考えづらく落ち着いてきたとの見方もありますが、ウッドショックの見通しが立っていないのが現状です。

米国は住宅ローン金利の引き上げを実施

コロナ禍などを要因とし、アメリカの住宅需要は高騰していましたが、2024年現在は需要が冷え込み、アメリカ国内において木材価格が下がる可能性があるようです。

なぜなら、アメリカではインフレを抑えるために段階的に金利を上げていくとされ、そうなると住宅ローン金利もアップすることになります。

ウッドショックはアメリカや中国の住宅需要増が原因とされているため、今後アメリカの住宅重要冷え込みとともに高騰していた木材価格が下がれば、日本国内における輸入木材の高騰が沈静化する可能性もあるでしょう。

ただし、アメリカの金利が上がることは、日本の円安が要因となっているため、円安と併せてみていくことが重要です。

欧州・中国では経済の先行き不安から不動産不況に

中国では、新型コロナウイルスの感染が広まったころ、景気を立て直すために金融緩和を実施。

この時に大量の中国マネーが不動産市場に流入し、不動産の販売額が急回復しました。

それに伴い住宅価格も高騰。

このバブルともいえる事態に政府当局は、「住宅は住むもので、投機のためのものではない」という声かけのもと、不動産企業への融資や住宅ローンの融資を規制します。

その後、不動産の大手企業など、資金不足からデフォルトに陥る企業が続出。

さらに「ゼロコロナ政策」が追い打ちをかけ、厳しい行動制限により、将来的に不安が広がったことで買い控えが加速しました。

ゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換した中国経済。

2024年現在、ゼロコロナ後遺症に加え民間企業への厳しい規制が経済の回復力を弱めています。

中国では雇用不安や政策の恩恵が国有企業に集中していることから、不動産不況に陥ったと考えられます。

中国の不動産は関連企業も含めると、GDPの2〜3割を占めると試算されるだけに、中国の不動産危機が本格化すると、日本のバブル崩壊時よりも世界経済に大きな影響を及ぼしかねません。

また、欧州も経済の先行き不安から不動産不況に陥っています。

家を購入するなら欲しいと思い立った時が良い理由

家を購入するなら欲しいと思い立った時が良い理由について、詳しく解説します。

  • 日本の住宅ローン金利はまだ低い水準にあるから
  • 新築一戸建ての価格は若干の下落がみられるから
  • 先の見通しは専門家・業者でも分からないから

家の購入を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。

日本の住宅ローン金利はまだ低水準にあるから

低金利が続いているため、利息を含めた総額を抑えられ家を買うには良いタイミングといえます。

条件次第では、金融機関が独自に設定した優遇金利を受けることも可能なため、適用される店頭金利よりもさらに低い金利でローンを借りられるケースも。

ただし、変動金利で長期の住宅ローンを借り入れた場合は、今後の社会情勢や経済動向により金利が上昇する可能性があります。

金利が上昇すると必然的に支払総額が増加する可能性があるので、その点も考慮し住宅ローンを組むようにしましょう。

新築一戸建ての価格は若干の下落が見られるから

コロナ禍の影響もあり、2020年以降住宅価格は世界的にも上昇傾向となっていました。


画像提供元/東京カンテイ

新築一戸建ての価格は2023年に入り、東京都や首都圏で平均価格が下落傾向にあります。

ただし、近畿圏や福岡県では下落の兆候はみられません。

その一方で、区分所有のマンションは2013年ごろから価格が急騰しています。

その要因として考えられるのが住宅ローンの低金利です。

さらには、円安の影響で海外の投資家の日本の不動産を購入する動きも影響していると考えられます。

住宅価格は住宅ローンの金利の影響を受けることから、金利次第では住宅価格が落ち着く可能性もありますが、建築資材の高騰や円安などの影響により住宅建築費は上昇傾向にあります。

そのため、住宅価格はしばらくの間、上昇または高止まりとなる可能性もあるので、しっかり見極めましょう。

先の見通しは専門家・業者でさえも分からないから

新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻など、世界情勢が目まぐるしく変化したここ数年。

「家を購入したいけど、迷ってしまう」という方も多かったはずです。

実際、マイホームを欲しい理由は人それぞれで、個人によってベストなタイミングが異なります。

実際、先の見通しは専門家や業者でさえも分からないということがコロナ禍で実証されました。

環境の変化に期待して、希望的観測でただ住宅価格が下落するのを待ち続けるより、購入できるときに買ってしまうほうが賢い選択といえるでしょう。

そのため、自分が購入しようと思ったときに買うのが満足度も高いため、ベストなタイミングといえます。

家を建てるのに役立つ補助金・助成金

下記では、家を建てる際に役立つ、補助金や助成金をピックアップしました。

  • こどもエコすまい支援事業
  • 地域型住宅グリーン化事業
  • ZEH支援事業

詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。

こどもエコすまい支援事業

子育て支援と2050円カーボンニュートラルの達成を目的とした「こどもエコすまい支援事業」。

子育て世帯や若い夫婦世帯が一定性能を有する住宅を購入する際に、補助金を受け取れ、補助金の申請手続きは工事施工会社(こどもエコすまい支援事業者)がおこないます。

申請期間は2023年3月31日から予算の上限に達するまで(遅くとも2023年12月31日まで)です。

要件を満たせば、新築工事だけでなくリフォーム工事に対しても、補助金が支給されます。

地域型住宅グリーン化事業

環境負荷低減のために、省エネ性能や耐久性に優れた木造住宅の建築整備を支援し、一定範囲内で補助金を支給しています。

その目的は、地域の木造住宅の生産体制を強化すること。

対象となる木造住宅と補助金の支給額上限は下記の通りです。

対象 支給額上限
認定長期優良住宅/ZEH・Nearly ZEH 140万円/戸
認定低炭素住宅/ZEH Oriented 125万円/戸

 

加算措置 支給額上限
(1)地域材加算 30万円/戸
(2)地域十分か加算 20万円/戸
(3)三世代同居/若者・子育て世帯加算 30万円/戸
(4)バリアフリー加算 30万円/戸

補助金を受け取るには、建設以来予定の建築会社がこの事業の連携体制に参加しているか、どうかを確認する必要があります。

ZEH支援事業

一戸建て住宅の高断熱化による省エネ・省CO2化を支援しているのが、戸建て住宅ZEH化等支援事業

2030年度の一般家庭からのCO2の排出量を約7割削減(2013年度比)や、2050年度のカーボンニュートラル達成を目標に掲げています。

各ZEHの性能イメージ

ZEHの種類 特徴
ZEH 高断熱・太陽光発電システム・省エネ設備を導入したエネルギー収支0の住宅
ZEH+ ZEHをさらに省エネ化し、電気自動車充電設備などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備等を導入した住宅
次世代ZEH+ ZEH+から、さらに蓄電システム・燃料電池などの再生可能エネルギーの自家消費拡大設備等を導入した住宅
次世代HEMS 次世代ZEH+から、さらに太陽光発電エネルギーの自家消費を拡大するために、AI・loT技術等による最適制御をおこなうもの

ZEHのポイント

省エネ 省エネ性に優れた設備や家電・HEMSを導入し、電気・ガス代を削減
断熱 断熱材などで外皮の断熱性を強化し、冷暖房にできるだけ頼らない住まいを実現
創エネ 太陽光発電システムなどの再生可能エネルギーを使った電気を自家消費する暮らしにする

認定条件

  • 「断熱」+「省エネ」による省エネルギー率:20%以上
  • 「創エネ」(再生可能エネルギー)を含む省エネ率:100%以上

上記のZEH住宅の3つのポイントを原則満たしている必要があり、「創エネ」の基準をクリアするには、太陽光発電などの発電装置の設置が必須です。

ZEH住宅を新築する場合は55万円/戸、ZEH+の場合は100万円/戸を支給。

また、次世代HEMSは、より高性能なZEH+を対象に経済産業省が実施する補助事業で、補助金額が定額で1戸あたり112万円となっています。

ZEH+の要件を満たしたうえで、下記のいずれかを設置することが条件です。

V2H設備・蓄電システム・燃料電池・太陽熱利用温水システム・AI・loT技術等により最適制御仕組みを備えている

また、2025年度までなら、120万円を上限に既存の一戸建て住宅の断熱リフォームに対しても、補助金が支給されます。

ZEH補助金の申請方法

  1. 予備調査
  2. 補助金プログラムの詳細確認
  3. 必要書類の準備
  4. 申請
  5. 審査
  6. 補助金の受け取り

ZEHの基準を満たしていることを証明するための設計図面や計算書などを準備する必要があります。

まとめ

今回は、ウッドショックの原因や現在の状況、今後の見通しについて解説しました。

家の購入を検討している方にとって気になるウッドショック。

執筆時点では、一戸建ての価格も高騰が続き、新築着工数は伸びていませんが、木材の価格は落ち着きが見られ始めています。

そうはいっても、輸入木材は大幅に減少し、国内自給率も大幅に上げられるものではないため、今後も一定期間はウッドショックの影響は続くものと考えられます。

ただ、住宅ローンは低金利が続いているため、売り手市場でもあり、買い手市場でもあるという珍しい時期です。

そのため、売り時・買い時を考える場合は、家族のライフプランやニーズにあわせて、国内外の情勢などマクロな視点で市場を見極めることが重要です。

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